2024.07.24
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謎のルール(踏切直前停止について)

投稿者:池内優太
踏切

※本日のブログは、わが国にある「不合理なルール(だと池内が感じているもの)」に対する批判的な内容を記事にしています。ご了承の上、ご覧ください。


世の中には、法律として定まっているものから、暗黙のルールに至るまでたくさんのルールがあります。

その中には、よくできているなと感心させられるものもあれば、何のためにあるのかわからないものも時々みかけます。

最近は、しばしばブラック校則というものが取り沙汰されていますが、あれなどは確かに趣旨不明のものが多いです。


本稿では、池内が個人的に不要だと思うルールを1つ、取り上げたいと思います。

それは「踏切手前での一時停止義務」です。

道路交通法33条1項には、次のように定められています。

「車両等は、踏切を通過しようとするときは、踏切の直前で停止し、かつ、安全であることを確認した後でなければ進行してはならない。」

教習所で皆が習ったはずのこのルール。遮断機がない踏切ならわかりますが、なぜ遮断機がある踏切でもこのルールが適用されるのか、不思議に思ったことはありませんか?

私は、個人的にこのルールには否定的な立場であり、時々「肯定派」との議論をすることがあります。

このルール肯定派の皆様は次のような主張をなさいます。


①遮断機が故障していたら大事故になる危険があるから止まるべきだ。


②踏切の先で渋滞が起きている場合など、一時停止なしで踏切を渡ろうとすると立ち往生してしまう危険があるから止まるべきだ。


いかがでしょうか。

①は、説得力のある理由付けとはいえません。

交差点に設置されている信号機を思い浮かべてください。 青信号であっても信号機が故障しているかもしれないわけですから、同じ理屈を通すなら信号機のある交差点でも一時停止をしなければいけないことになります。

そもそも、道交法33条1項にはただし書きがあり

「ただし、信号機の表示する信号に従うときは、踏切の直前で停止しないで進行することができる。」

とあります。

つまり、踏切信号が設置されている踏切において、それが青信号であれば一時停止は不要だとしているのです。

されば「遮断機は信用せず、踏切信号は信用しても良い」理由とは何か? そこまで説明された肯定派には、まだお目にかかっていません。


次に、②についてです。

確かに、踏切の先で渋滞している場合、不用意に踏切に進入すれば立ち往生の危険を伴います。

ですが、そのような立ち往生を避けるためであれば、踏切進入時に踏切の先の道路状況を視認し、安全に進行できることを確認する義務を課せば済むことです。

重要なのは、止まるかどうかではなく、先の安全を確認することのはずです。

ですので、これも杓子定規に一時停止義務を課す理由にはなりません。

私がここまで一時停止義務に反感を抱く理由は、このルールのせいで渋滞が多発し、渋滞に起因して車同士の事故の危険が増大したり、ガソリンの無駄な消費が増えるからです。

これは、事故が起こるかもしれないという不確定なリスクとは異なり、明確に発生しているリスク(デメリット)です。

また、踏切信号がある踏切では停止しなくて良いことを知らない人もいるようで、たまに信号のある踏切の直前で急減速されることがあり、それこそ危険を感じます。

これらのデメリットが、一律に一時停止義務を課すことのメリットより大きいように思えてならないのです。

メリットを否定するつもりはありませんが、このルールのおかげで避けられた事故というものが現実にどれほどあるのか…と考えると、実際には殆ど無いのではないか、それより現に発生しているデメリットの規模が大きすぎるのではないかということです。


弁護士が、まがりなりにも存在している法律を「不要」と言うことはけしからんという向きもおられましょう。

ですが、法律などは守ってさえいれば良いのです。 私とて、弁護士である前に一人の日本国民として、自国の法律に物申したいことくらいあります。

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