2026.03.25
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遺産分割における遺言調査の話

投稿者:二川伸也
2026年3月25日

弁護士の二川です。


エジプト旅行記を書くためのアリバイ作り(?)として、

今回は、相続・遺産分割の場面でぜひ知っておいていただきたい「遺言の調査」について解説します。


親が亡くなったとき、「うちに遺言書なんてないだろう」と思っていたら、後から遺言書が見つかってトラブルになった——そんなケースは相続の場面では珍しくありません。
遺言書の有無を確認せずに相続の手続きを進めてしまうと、思わぬ落とし穴にはまることがあります。今回は、遺言の調査がなぜ重要なのか、そしてどのように調べればよいのかを説明します。


1.なぜ遺言の調査が重要なのか?
相続人は、相続が開始したことを知ってから3か月以内に、相続を承認するか放棄するかを決めなければなりません。しかし、遺言書の内容が分からない状態では、この判断を正しく行うことができません。
また、相続人全員で遺産分割の話し合いが成立した後に遺言書が見つかった場合、その話し合いの内容が遺言と異なっていると、これまでの手続きがやり直しになってしまう可能性があります(最判平成5年12月16日)。
遺言書の存在を早めに確認しておくことは、相続手続き全体をスムーズに進めるために欠かせない作業です。


2.公正証書遺言の調査方法
公正証書遺言とは、公証役場で公証人に作成してもらう遺言書です。
昭和64年1月1日以降に作成された公正証書遺言であれば、全国どの公証役場でも「遺言検索システム」というデータベースを使って調べることができます。検索できる情報は、遺言の作成年月日・証書番号・遺言者の氏名・担当した公証人名などです。
検索・照会を依頼できるのは、相続人など一定の利害関係人に限られています。プライバシー保護のため、遺言者が生存中は遺言者本人しか照会できません。
保管場所が分かったら、その公証役場に対して遺言書の正本または謄本の交付を請求することで、内容を確認することができます。なお、遠隔地の公証役場が保管する遺言書については、最寄りの公証役場で手続きをすることで郵送により取得することも可能です。


3.自筆証書遺言の調査方法
自筆証書遺言とは、遺言者が自分で手書きした遺言書です。かつては保管方法が個人任せだったため、紛失や改ざんのリスクがありました。
しかし、令和2年7月から「法務局における遺言書の保管制度」がスタートし、自筆証書遺言を法務局(遺言書保管所)に預けることができるようになりました。
遺言者の死亡後は、相続人・受遺者・遺言執行者などが、全国どの法務局でも「遺言書保管事実証明書」の交付を請求することができます。この証明書を取り寄せると、法務局に遺言書が保管されているかどうかを確認することができます。
保管されていることが分かった場合は、さらに「遺言書情報証明書」の交付を請求するか、実際に閲覧することで内容を把握することができます。なお、法務局に保管されている遺言書については、通常必要な「検認」の手続きが不要となっています。


4.法務局に保管されていなかった場合は?
「遺言書保管事実証明書」で「保管なし」と分かっても、遺言者が自宅などで自筆証書遺言を保管していた可能性は残ります。
この場合は、遺言者が生前に大切なものを保管していた場所(自宅の引き出し、金庫、銀行の貸金庫など)を丁寧に探すことが大切です。また、遺言者と生前に関わりのあった友人、病院・介護関係者、弁護士・税理士・行政書士などの専門家に話を聞いてみることも有益です。


5.秘密証書遺言の調査方法
秘密証書遺言とは、内容を秘密にしたまま公証役場で存在だけを証明してもらう遺言書です。公証役場に遺言書そのものは保管されませんが、作成した記録は残ります。
そのため、公正証書遺言と同様に「遺言検索システム」を使って、秘密証書遺言が作成されたかどうかを調べることができます。作成の事実が判明した場合は、遺言者が保管していた場所の探索や関係者への聴取によって、遺言書の所在を調べることになります。


6.まとめ
遺言書の調査は、相続手続きを正しく進めるうえで最初に行うべき重要な作業です。遺言の種類ごとに調査方法が異なりますので、まずは公証役場での「遺言検索システム」と法務局での「遺言書保管事実証明書」の取得から始めるとよいでしょう。
「遺言書があるかどうか分からない」「相続手続きをどこから始めればよいか分からない」とお悩みの方は、ぜひ一度当事務所にご相談ください。


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