2025.10.25
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動産執行が功を奏した案件

投稿者:二川伸也

弁護士の二川です。


これから、債権回収に関する解決事例について、フェイクを交えながら説明いたします。



結構前、ある案件で、相手方に対して金銭の支払を求める訴訟を起こし、全額認容で勝訴しました。

しかし、相手方から支払がありませんでした。


こういったときは、勝訴判決に基づいて、財産の差押えを行う等の手続に及ぶのですが、

私の調査によると、

その相手方は預金をもっていたり、不動産を持っていたりといったことは少し考えにくい状況でした。


しかし、ご依頼者様のお話によれば、

どういうわけか、家の中に高価品がありそうとのことでした。


そこで、

動産執行

を申し立てることにしました。

動産執行とは、相手方本人の持つ動産(ひとまず、不動産以外のモノと考えておいてOKです。)を差し押さえて、

それを現金化し、債権を回収する手続です。


過去にも、何度か申し立てたことはあったのですが、功を奏したことはなく、

動産執行の手続を遂行してくださる「執行官」という役職の方からも

動産執行してもちょっと厳しいのではないかと、県外の執行官から示唆されたこともありました。

(任意での支払をしないような人は、そもそも資産も乏しい人が多いです。たぶん。)

また、動産執行は、事前にある程度の実費支払もしなければならないため、費用倒れになるときは

それなりな赤字(といっても、せいぜい数万円が多いと思います。)になることもあります。


それでも今回は、

ご依頼者様のお話について、裏付けもありましたので、動産執行を申し立てることにしました。

申立てをした後に執行官との間で、執行場所(この件では、相手方自宅)の確認、いつ頃に執行に行くか、鍵屋をどうするか

といったことを打ち合わせしました。


執行当日、執行官らと現地で集合し、執行手続を行うことになりました。

幸い?なことに、相手方本人が自宅にいました。

相手方本人は、家族と同居しているため、自宅に入ることはやめてほしいと言っていました。

とはいえ、こちらとしても、ここまで手続をしておいて、おとなしく帰るわけにいきません。


そこで、執行官と一緒に相手方本人に話をし、任意で支払ってくれないかと話をしたら、

現金が家にあり、それをすぐに持ってくるから勘弁してもらえないかとなり、無事に支払ってもらいました。


初めて動産執行が功を奏したので、テンションが上がりました。

そのテンションのまま、執行官に「動産執行で初めてうまくいきました」と伝えると、

執行官は「案外、家まで行って家族と同居してたりすると、こういった場合もありますよ」と仰っていました。


たしかに振り返ってみると、今まで功を奏していなかった動産執行は、単身者が多かったように思います。


この事例を通じて、

動産執行も場面によっては積極的に活用を検討してもいいかもな

と思いました。


債権回収に何か不安のある方も、弁護士に相談してみてもいいかもしれません。

案外、うまくいくことがあるかもしれません。





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