2025.09.27
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財産分与の改正点の一部

投稿者:二川伸也
money_zaisan 2025年9月27日

弁護士の二川です。


毎年、ちょっと大変気味の「財産分与」のご依頼を受け、なんとか無事に解決できてきました。

夫婦どちら側を受けるにしても熾烈な争いになることが多く、特に財産を多めに持っているであろう側、つまり支払側の方は、いろいろと思うところが生じてしまう方が多いように思います。

ということで、今回は、財産分与について記事を書いてみます。

といっても、一つ一つのことを書いていたら、途方もありません。

そこで、財産分与分野に関するルールを含む民法等の一部を改正する法律が成立し、この改正は、近い将来施行される予定ですので、その点のさらに一部を説明します。

ちなみに、この改正は、以前にブログにも書いた、共同親権の改正時に一緒に改正されたものです。


個人的に、今回の改正点で気になったのは「財産開示の仕組み」です。

これまで、財産分与の仕事をしていて、ご依頼者の方から一番関心を持たれてきた点は、相手方の財産をどうやって明らかにするのか、といった点だったかなと思います。

感情的にも熾烈な争いになっていることから、相手方が「これが財産の全てです。」と言っても、他の資料との関係からそのようなはずがない、信じられない、といったことがよくあります。

そうしたときに、●●があるはずだ!▲▲を明らかにせよ!と言っても、なかなか実効性がないことが多いです。もちろん、現状の手続においても手立てはあるのですが、それでも難しい場面が多いです。

そういった現状において、今回の改正により、裁判所によって相手方の財産を明らかにする「情報開示命令」が新設されたことには個人的には期待しています。

私が持っている、改正点に関する書籍によると、

特定の財産の要否や金額等が問題となっている場面においては、当該財産の内容や金額の裏付けとなるような情報の開示を命じることが考えられる、

とされています。


裁判所が直接、当事者に情報開示を命令できるというのは、財産開示を進める上で大きな一歩だと思います。

また、この命令違反に対しては、当事者に10万円以下の過料の制裁を科すことができるとされています。

正直、これは弱い気もしますが、命令違反の最大の効果としては、命令に違反したという事実がその命令違反した当事者にとって不利に扱われる点ではないかと思います。


具体的な事例は、施行されてから積み重なっていくと思いますし、自分でも情報を集めます。

何にせよ、当該制度によって、当事者にとってより納得のいく財産分与が実施されれば良いのではないかと思っています。


今回説明した以外にも、いくつか改正点はあるので、財産分与で気になることがあれば、弁護士に相談されることをオススメします。


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