2025.06.29
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空き家法について

投稿者:二川伸也
building_akiya 2025年6月29日

弁護士の二川です。


皆さん、ご自宅の近所に「空き家」はありませんか。相続問題やそれに関連するご相談を受ける中で、「空き家」が関係している事案が増えてきたように思います。

この「空き家」の増加が今、日本中で大きな社会問題となっていることはご存知の方も多いと思います。

そして、この問題に対処するため、令和5年12月13日に「空家等対策の推進に関する特別措置法」(通称「空き家法」)の改正法が施行されました。

改正法施行は少し前のことですが、空き家に関心を持つことがありましたので、せっかくなのでブログにします。


簡単に調べた限りではありますが、日本全国で空き家が増え続けている背景には、いくつかの要因があるようです。

少子高齢化や人口減少によって、地方を中心に人口が減少し、住む人がいなくなることで空き家が増えています。

次に、親から子へ家を相続しても、子どもが遠方に住んでいたり、すでに持ち家があったりして、誰も住まないまま放置されるケースが増えています。

さらには、空き家を維持管理するには、固定資産税などの税金や修繕費用がかかります。しかし、使わない家にお金をかけたくないという理由で、管理がおろそかになることもあるようです。


このような要因で増え続ける空き家は、様々な問題を引き起こすことがありますが、空き家に関わるご相談で、一番ご心配なさっている点が多いのは、

空き家への不審者の侵入や放火のリスク、倒壊の危険性、屋根からの落雪など、空き家の近隣住民の安全を脅かす可能性です。

その他にも、ゴミの不法投棄問題、伸び放題の庭木が路上に伸びていき迷惑をかける、不動産の価値低下といったことも挙げられます。


このように、空き家は単なる「誰も住んでいない家」ではなく、当事者に限らず、地域に悪影響を及ぼす潜在的なリスクを抱えています。

空き家の増加は、全国的な傾向ですが、もちろん香川県も例外ではないようで、

先日、香川県空き家対策連合会の代表の方のお話を伺う機会があったのですが、香川県の空き家率は全国平均を上回る水準で推移しており、特に地方部や高齢化が進む地域では深刻な状況が見られるようです。


空き家法が制定されたのは平成27年(2015年)のことです。

この法律は、適切に管理されていない空き家を「特定空家等」と指定し、市町村が所有者に対して管理の改善を促す等の権限を与えることで、空き家問題の解決を目指していました。

「特定空家等」とは、具体的には、

倒壊など著しく保安上危険となるおそれがある状態、

著しく衛生上有害となるおそれがある状態、

適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

とされています。


しかし、これまでの空き家法では、特定空家等に指定されるまでにはかなりの時間がかかり、その間にも空き家は老朽化が進んでしまうという課題があったようです。

また、特定空家等に指定されたとしても、最終的な行政代執行に至るまでのハードルが高く、迅速な対策が難しいという声も上がってたようです。

令和5年の空き家法改正は、上記のような課題を解決し、より積極的に空き家問題に取り組むことを目的としています。主な改正点は次のとおりです。

これまでは「特定空家等」に指定されてから本格的な対策が始まるため、手遅れになるケースも少なくありませんでした。そこで、今回の改正では「管理不全空家等」という新たな区分が設けられました。

「管理不全空家等」とは、特定空家等になる手前の、まだそこまで危険ではないけれど、放置すれば特定空家等になるおそれがある空き家を指します。

例えば、庭木の枝が隣地に越境している、窓ガラスが割れている、外壁にひび割れがあるなど、放置すれば将来的に危険な状態になる可能性のある空き家がこれに該当します。

この「管理不全空家等」が新設されたことで、

市町村は、空き家が深刻な状態になる前に所有者に対して指導・助言を行ったり、必要な措置を勧告したりすることが可能になりました。

これにより、空き家が特定空家等になることを未然に防ぎ、問題の早期解決を図ることが期待されています。


「管理不全空家等」の新設に加えて、既に「特定空家等」に指定された空き家に対する措置も強化されました。

これまで、住宅用地には「住宅用地の特例」という固定資産税の優遇措置があり、更地よりも固定資産税が安くなる仕組みになっていました。

しかし、この特例が、「特定空家等」に指定され、市町村から勧告を受けた場合、解除されることになりました。

固定資産税は、家屋と土地にかかる税金であり、特に土地にかかる税金は大きな負担となります。

この優遇措置が解除されるということは、特定空家等の所有者にとっては固定資産税の負担が大幅に増えることを意味します。これにより、所有者に対し、空き家の適切な管理や処分を促す強力なインセンティブとなることが期待されています。


空き家問題が複雑化する要因の一つに、「所有者不明の空き家」の存在があります。相続登記がされていなかったり、所有者が分からなかったりする空き家は、そもそも誰に管理を促せばよいのか分からず、行政も手が出せない状態でした。

今回の改正では、所有者不明の空き家について、市町村が裁判所に財産管理人の選任を請求できる制度が創設・拡充されました。これにより、所有者が不明な空き家であっても、財産管理人が選任されれば、その管理人が所有者の代わりに空き家の管理や処分を進めることができるようになります。

これは、空き家問題の解決を大きく前進させる重要な一歩と言えるのではないでしょうか。


また、空き家は、単に「負の遺産」ではありません。地域によっては、子育て世代の移住促進や、地域の交流拠点、地域の活性化につながる施設として活用できる可能性を秘めています。

今回の改正では、空き家の活用を促進するため、「地域空家等活用事業」が創設されました。これは、NPO法人や民間事業者などが、空き家を改修して地域活性化に資する施設(例えば、地域交流スペース、子育て支援施設、シェアハウスなど)として活用する場合に、国や地方公共団体が支援を行う制度です。

これにより、これまで放置されていた空き家が、新たな価値を生み出し、地域の活性化に貢献する「地域資源」として生まれ変わる可能性が広がります。


以上種々説明してきましたが、今回の空き家法改正によって、空き家所有者の責任はこれまで以上に重くなります。

もし、あなたが空き家の所有者であるなら、あるいは将来空き家を相続する可能性があるなら、以下の点に留意し、適切な対策を講じることが重要です。

定期的に空き家の状況を確認し、庭木の剪定、草刈り、外壁の点検、雨漏りの確認などを行いましょう。専門業者に管理を委託することも検討する価値があります。

次に親などから空き家を相続した場合、速やかに相続登記を行い、所有権を明確にしましょう。令和6年4月1日からは相続登記が義務化されましたので、ご注意ください。

他にも、空き家を誰かに貸す、売却する、あるいは地域に貢献する形で活用するなど、積極的に活用方法を検討しましょう。


とはいえ、空き家問題は複雑であり、ご自身で解決が難しい場合もあります。地域の空き家相談窓口や弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。


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