2024.06.05
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死亡事故で弁護士に依頼する意味

投稿者:池内優太
交通事故

交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するのって、どういう場合だと思いますか?

世間の皆様の話を聞いていると

「過失割合でもめているケース」

だと思われているフシがあります。

もちろん、そういったケースもあります。ですが、私が受けている事件で過失割合が問題になっているケースというのは4~5件に1件くらいの割合です。

完全にこちらの責任がゼロというケース(例えば、信号待ちで追突されたような場合)でも依頼される方がたくさんいらっしゃいます。むしろ、そのようなケースの方が多いくらいです。

何のためかというと、

・相手の保険会社からの連絡がわずらわしいので代行してもらうため

・相手の保険会社に、通院の対応を十分してもらうための交渉をするため

・慰謝料額をきちんと算定してもらうため

このような理由であることが多いです。

ここまでの話は、私の周囲の人にはよく知られています(私が聞かれて答えることが多いので)。


では、通院期間の交渉などが発生しない死亡事故の場合はどうなのか。

この場合でも、もちろん過失割合に関する交渉の余地はあります。

あまり言いたくはないですが、死人に口なしとばかりに勝手な主張をしてくる方も居ないわけではなく、何とかしたいというお気持ちのご遺族からお問合せいただくことはあります。

その場合には、刑事記録や、当時の現場周辺に居た人の証言などを集め、相手の責任を立証していきます。

場合によっては、専門家に工学鑑定を依頼し、相手車両がどのタイミングでブレーキを踏んだと考えられるかの鑑定書を作成してもらうこともあります。

また、死亡事故の場合でも、当然慰謝料が発生しますので、その金額を交渉するという仕事もあります。

多くの保険会社は、自社基準による算定を行いますが、その金額は裁判において認められる水準より大きく下がります。

インターネットで得た知識を基に相手保険会社と交渉をしても、そうそう応じてはきません。

なぜなら、裁判で認められる金額というのはあくまで「裁判を起こした場合」にのみ発生するものであり、個人がいくら主張しても基本的に「裁判を起こすことはない」からです。

もっと難しい話をすると、亡くなった方には「将来●●●●円を稼いでいたはずだ」という逸失利益と呼ばれる損害が発生しています。

この金額は、稼いでいたであろう金額を単純に合計したものではなく、そこから「生活費として●●●円を費やしていたはずである」という金額を差し引くことになります。これを生活費控除といいます。

生活費控除の仕方には一定の相場がありますが、中には給料だけでなく、不動産収入などのいわゆる不労所得がある人もいます。

そのような場合、給料に手を付けなくても不労所得である程度生活できてしまうので、生活費控除も通常の相場によらず、もっとご遺族に有利な計算方法を採用する余地があります(私が6年前に担当していた事件で、実際にこのような主張を展開した裁判がありました。)。

このように、死亡事故の場合でも弁護士としてサポートできることはたくさんあります。

何より、人が亡くなった場合には、ご遺族にはやらなければいけない仕事がたくさんありますので、なかなか事故のことまで気が回りません。

そこを、言い方は悪いですが「丸投げ」できるのがある意味一番のサポートかもしれません。


最近、事故にあった時に弁護士に依頼できるという保険会社のCM(弁護士費用特約のことと思われます)を見た人から、交通事故で弁護士を立てるメリットについて聞かれ、良い機会なのでブログにすることにしました。

初めて人の役に立つ内容を書いた気がします。

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