2025.01.10
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遺産分割事件で完全勝利

投稿者:池内優太
相続争い

相続には色々なもめごとが起こります。

・お母さんの介護をしていたのでその分を遺産に反映させたい

・遺言書の内容が不平等すぎる

・生前に被相続人の預貯金を使い込んでいた形跡がある

などなど・・・。

多くの場合、当事者同士で協議して解決(あるいは、妥協)に至りますが、それができないときには、家庭裁判所で話し合う「調停」という手続をとります。

この「調停」でも話し合いがまとまらない場合、裁判官が遺産分割の仕方について決定をする「審判」という手続に移行します。 これは訴訟でいう「判決」のようなイメージです。

さらに、この「審判」に不服がある場合、不服申立てを行うことにより高等裁判所で判断してもらうこともできます(訴訟でいえば「控訴」のようなものです)。

ひとつの遺産分割事件でここまで移審することはなかなかありませんが、先日、私が「調停」の段階から受任している事件で、「審判」「不服申立て」を経て、高等裁判所の判断が出たものがありました。

結果はこちらの完全勝利です。


母親が亡くなり、その配偶者Aさん、息子のBさん、娘のCさんが相続人となり、AさんとBさんの依頼でCさんを相手方としていた事件でした。

通常であれば、Cさんは相続財産の25%程度を取得することになりますが、Cさんは生前のお母さんから多額の贈与を受けていた痕跡がありました。

この贈与が事実なら、Cさんはお母さんから生前に遺産の前渡しを受けていたということで、計算上、取得額が0円かそれに近い金額になるという状況です。

そこで、色々な証拠(事案の特定を避けるため、詳細は控えます)を提出し、主張をした結果、Cさんの取り分は0円という結論が出たというわけです。

文章にすると非常に簡潔になりますが、実際には、相手方から、被相続人の通帳の出金履歴ひとつひとつであったり、明らかに事案と関係ない部分まで説明を求められたりして、非常に長い時間を要しました。

無関係なものは無視しても良いといいたいところですが、調停というのは双方合意しなければ結論を出すことができません。

そして、調停ではなく審判に移行したときに、ちょっとだけ不安になる部分もあり、依頼者に説明した上で、できる限り調停で終わらせる方針を立てていたという事情がありました。

結果として、調停は不成立となり、審判ではこちらが懸念したような展開にならなかったので良い結果となりました。

この事件では、遺品から見つかった書面が大きな決め手となりましたが、依頼者側では、当初、その書面がここまで大きな意義を持つとは考えられていないようでした。


遺産分割事件では、亡くなられた方の遺品という膨大な資料を使って主張をしていくことになるので、作業としてはなかなか大変です。

ですが 「証拠になるかどうか」 「証拠としてどの程度の効力があるか」 は、ご自身でご覧になってもすぐにはわからないものが多いです。

また、時間が経つと消えてしまう証拠もあります(例えば、銀行の入出金履歴は10年以上前のものになると基本的にデータをもらえなくなります)。

遺産分割で紛争になっている、あるいは、なる可能性があるという場合は、「どうせ無理だから」などと決めつけずに、お早めに弁護士までご相談ください。

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