2026.04.06
コラム

現金を使われそうな場合

投稿者:二川伸也

遺産の現金を使われてしまう前に|相続と現金の分割・保全処分を弁護士が解説|よつば法律事務所

本コラムのレイアウト構成にはAIの支援を導入しています。皆様に複雑な法律問題を視覚的に分かりやすくお伝えするための試みです。
Cash Inheritance & Protective Measures

遺産の現金を使われてしまう前に
相続における現金の扱いと
「審判前の保全処分」

同居していた相続人が現金を管理している。金額も教えてもらえない——。そんなお悩みに法的な対処法があります。

母が亡くなり、同居していた兄が遺産の現金を保管している。相続放棄するつもりはないのに金額すら教えてもらえず、遺産分割の話し合いが進まない——。このような状況は、香川・高松市周辺でも決して珍しくありません。

実は、現金も遺産分割の対象であり、勝手に使うことは法的に問題があります。また、費消されるのを防ぐための手続き(審判前の保全処分)も存在します。この記事では現金相続の基本的な考え方から、協議書の作成、そして緊急の保全手続きまでわかりやすく解説します。

現金を費消されるおそれがある場合は、遺産分割調停・審判の申立てと同時に「審判前の保全処分」を申立てることで、第三者による管理を求めることができます。お早めにご相談ください。

現金は「自動的に分割されない」遺産です

預貯金と同様に、現金は相続開始と同時に自動的に法定相続分に応じて分割されるわけではありません。最高裁平成4年4月10日判決は、「遺産の分割までの間は、現金を保管している相続人に対して、自己の相続分に相当する金銭の支払を求めることはできない」と明確に判示しています。

つまり現金は相続人全員の「共有」状態となり、遺産分割が確定するまで各自が単独で取得・使用することはできません。現金を保管している相続人が独断で費消すれば、不当利得として法的責任を問われる可能性があります。

CASE 1 — 話合いがまとまる場合

遺産分割協議書を作成して分割

金額を相続人全員で確認し、遺産分割協議書に記載のうえ分配します。協議書作成と同時に金額を現場で確認・分配するとトラブルを防げます。

CASE 2 — 話合いがまとまらない場合

調停・審判+保全処分の申立て

家庭裁判所に遺産分割調停・審判を申立てます。費消のおそれがある場合は同時に「審判前の保全処分」を申立て、第三者管理を求めます。

話合いがまとまった場合:遺産分割協議書の作成

現金を含む遺産の分割について相続人全員が合意したら、遺産分割協議書を作成します。現金の場合は特に「金額の確認」が重要です。

  • 協議書と同時に現物確認・分配するのが理想的です。「金額○円を取得」と記載しても後から金額を争われることがあるため、現場で確認しながら分けましょう。
  • 相続人全員が実印で署名押印し、全員の印鑑登録証明書を添付します。
  • 相続人の住所は印鑑登録証明書の記載と一字一句同じにします。
  • 保管していない相続人は、保管者に対し現金の金額を明らかにするよう請求する権利があります(民法252条・共有物の保存行為)。

現金を使われそうな場合:審判前の保全処分

遺産分割の調停・審判は解決まで相当の時間がかかります。その間に現金が費消されてしまう危険がある場合、「審判前の保全処分」を申立てることで、裁判所が遺産の管理者(弁護士等の第三者)を選任し、現金の管理を委ねることができます(家事事件手続法200条)。

申立ての概要

  • 申立先:遺産分割事件が係属している家庭裁判所(高等裁判所に係属中はそちら)
  • 申立時期:遺産分割調停・審判の申立てと同時またはその後随時
  • 申立人:本案の利害関係人(当事者はもちろん含まれます)
  • 費用:予納郵便切手(各裁判所の定めによる)

申立時の添付書類

  • 審判前の保全処分申立書
  • 財産の管理者候補者の戸籍謄本
  • 財産の管理者候補者の住民票
  • 保全処分を求める事由を疎明する資料(金額不明・費消のおそれを示す証拠等)
⚠ 保全処分の限界も知っておきましょう
管理者への移管が決定しても、それ以前に保管者が現金の一部を隠してしまうことは防ぎきれません。疑わしい状況があれば、できるだけ早めに申立てることが重要です。
📌 生前の無断出金も不当利得になる可能性があります
相続人が被相続人の生前に預金口座から無断で出金していた場合、他の相続人は法定相続分に相当する不当利得返還請求権を取得します(東京地判令3年9月)。死後の無断出金も同様に不当利得となり得ます。

自分で対応する場合と弁護士に依頼する場合の比較

比較項目 自分で対応 弁護士に依頼
現金金額の確認 保管者が開示を拒否した場合、強制する手段が限られる 法的根拠をもとに開示請求・交渉を代理で行う
協議書の作成 現金の記載方法を誤ると後のトラブルに。執行まで見越した記載が必要 金額確認の方法から記載内容まで適切にサポート
調停・審判申立て 申立書の作成・裁判所とのやり取りをすべて自分で対応 代理人として申立書作成・期日対応を一括でサポート
保全処分申立て 申立て要件・疎明資料の収集が複雑で難易度が高い 緊急性を踏まえ、スピーディーに申立て対応
費用の目安 実費のみ(郵便切手等) 弁護士費用(内容により異なる。要相談)

まとめ:現金の問題は早期対応が何より重要です

遺産の現金は、預金とは異なり目に見えない形で消えてしまうリスクがあります。「そのうち話合いで解決できる」と思っている間に費消が進んでしまうケースも少なくありません。金額の開示を拒否されている、話合いが進まないといった状況であれば、早めに法的手続きを検討することが大切です。

よつば法律事務所では、相続における現金の管理問題・遺産分割調停・審判前の保全処分申立てまで、幅広くご対応しております。「どうすればいいかわからない」という段階からでも、弁護士が丁寧にお話を伺います。香川・高松市近辺でお困りの方は、まずはお電話ください。

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※ 本コラムは一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律相談ではありません。また、掲載内容は本コラム作成時点の情報に基づくものであり、その後の法改正等により内容が変わる場合があります。
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