2026.04.07
コラム

代償金が支払われない

投稿者:二川伸也

遺産分割で決まった代償金を兄が払ってくれない…取り戻す方法を弁護士が解説|よつば法律事務所

Unpaid Compensation After Estate Division

遺産分割で決まった代償金を
兄がいつまでも払ってくれない。どうすればいい?

代償分割で合意したのに相手が払わない──そんな場面でも、「協議をやり直す」ことはできません。法律の定める手続きで確実に代償金を回収する方法を解説します。

本コラムのレイアウト構成にはAIの支援を導入しています。皆様に複雑な法律問題を視覚的に分かりやすくお伝えするための試みです。

「兄が不動産を相続する代わりに、私に代償金を支払うという内容で遺産分割協議が成立した。しかし約束の期限を過ぎても一向に支払われない。協議を解除して遺産分割をやり直せないのか?」

このようなご相談は少なくありません。実は、代償金の不払いを理由に遺産分割協議を解除することは、法律上認められていません(最高裁平成元年2月9日判決)。しかし、代償金を取り戻す手段はいくつか用意されています。

まず知っておくべき大原則──協議の「解除」はできない

遺産分割協議が一度成立すると、その後に一方が債務(代償金の支払い)を履行しなくても、他の相続人は民法541条の「債務不履行解除」によって協議全体を解除することはできません。

最高裁は「遺産分割自体は協議の成立により終了しており、その後は協議において債務を負担した者と債権を取得した者との間の関係が残るだけ」「法的安定性の観点から一部の者の不履行で協議全体を解除できるとするのは相当でない」と判断しています。

つまり、相手が払わないからといって協議をなかったことにはできません。代わりに、代償金支払いを別途請求する手続きを進める必要があります。

代償金を回収するための手続きの流れ

1

遺産分割後の紛争調整調停を申し立てる
相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てます。収入印紙1,200円が必要です。調停委員会を通じて支払いの合意を目指します。調停が成立すると、調停調書は確定判決と同一の効力を持ちます。
2

調停が不成立の場合→民事訴訟を提起
相手が調停に応じない・合意できない場合は、地方裁判所または簡易裁判所に代償金支払請求訴訟を提起します。判決では代償金本体に加えて、支払期限翌日から年3分の遅延損害金の支払いも命じられます。
⏱ 代償金支払期限から5年以内(民法166条)
3
調停成立後も払わない場合→履行確保の手段へ
調停調書があるにも関わらず支払いがない場合は、強制執行のほか、家庭裁判所への「履行勧告」「履行命令」の申立てができます。

調停成立後も払わない場合の強制執行以外の「履行確保」2つの手段

① 履行勧告(無料)
家庭裁判所が義務者の履行状況を調査し、履行を勧告する制度です。口頭での申出も可能で費用もかかりません。ただし強制力はなく、心理的プレッシャーをかける手段です。
申出先:調停をした家庭裁判所
② 履行命令(10万円以下の過料)
家庭裁判所が相当の期限を定めて履行を命じる制度です。正当な事由なく命令に従わない場合は10万円以下の過料に処されます(家事手続法290条5項)。
費用:収入印紙500円

⚠️ 予防策が重要:代償分割の合意をする際には、不払いのリスクを見越して、①同時履行条項(登記移転と代償金支払いを同時に行う)、②担保の提供(抵当権設定など)を協議書に盛り込んでおくことを強くお勧めします。一度協議が成立すると解除できないため、事前の手当てが重要です。

自分で進める場合と弁護士に依頼する場合の比較

比較項目 自分で対応 弁護士に依頼
解除できないことの理解 「協議をやり直せばいい」と誤解しがち 正確な法的手段を最初から選択できる
調停申立書の作成 記載事項(協議の存在・代償金の定め等)の漏れが生じやすい 必要事項を網羅した申立書を作成
調停での交渉 感情的になりやすく不利な条件を飲みがち 代理人として冷静・的確に交渉
遅延損害金の請求 見落としやすい 支払期限翌日からの損害金も漏らさず請求
強制執行・履行命令 手続きが複雑で自力対応が困難 調停・訴訟後の強制執行まで一貫対応
時効管理 5年の期限を見落とすリスク 期限内の確実な権利行使をサポート

高松市周辺でも、代償分割で合意したのに相手が払わないというトラブルは起きています。放置していると時効が完成し、請求権が消えてしまう危険もあります。「催促しても無視される」「どこに相談すればいいかわからない」という場合は、ぜひ早めにご相談ください。

相続の全体像については、こちらのまとめページをご覧ください。→

代償金の未払い問題、よつば法律事務所にご相談ください

「払ってもらえない」「催告しても無視される」「調停を申し立てたいが書類の作り方がわからない」──どのようなご状況でも、まずはご相談ください。

よつば法律事務所では、香川・高松の弁護士として、遺産分割後のトラブル解決から強制執行まで一貫してサポートしています。お気軽にお電話ください。

※ 本コラムは一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律相談ではありません。また、掲載内容は本コラム作成時点の情報に基づくものであり、その後の法改正等により内容が変わる場合があります。

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