2026.04.07
コラム

相続分譲渡と遺留分

投稿者:二川伸也

母の相続分が兄に遺贈された…私は遺留分を請求できる?弁護士が解説|よつば法律事務所

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母の相続分が兄に丸ごと遺贈された…
私は遺留分を請求できますか?

父の遺産を分割する前に母が亡くなり、その相続分が兄への遺言で遺贈されてしまった。そんな複雑な状況でも、遺留分の権利は守られます。

本コラムのレイアウト構成にはAIの支援を導入しています。皆様に複雑な法律問題を視覚的に分かりやすくお伝えするための試みです。

「父が亡くなり、まだ遺産分割が終わっていないうちに母も亡くなった。その母が"自分の相続分を含む遺産を全部兄に遺贈する"という遺言を残していた場合、私は遺留分を主張できるのか?」

少し複雑に聞こえますが、このようなご相談は実際に起こりうるケースです。結論からお伝えすると、このような状況でも遺留分侵害額の請求は可能です。ただし、平成30年の相続法改正によって手続きの性質が大きく変わっていますので、正しく理解しておくことが大切です。

この事例で何が起きているのか?まず整理しよう

状況を整理すると、次のような構造になっています。

事例の構造

  • 父が死亡 → 相続人は母・兄・私(例:各1/4など)
  • 父の遺産分割が終わらないうちに、母も死亡
  • 母は「自分の(父の遺産に対する)相続分を含む遺産を全部、兄に遺贈する」という遺言を残していた
  • その結果、父の遺産に対して本来「私」が持つはずの権利が実質的に侵害された

このように、遺産分割前の相続分が第三者(ここでは兄)に遺贈されるケースは、遺留分の問題が生じます。香川の皆様からも「こんな場合はどうすればいい?」というお問い合わせをいただくことがあります。

改正法と旧法で何が違う?遺留分の性質が変わった

平成30年改正前(旧民法)の取り扱い

改正前の旧民法では、遺留分減殺請求権は「遺贈などの行為の効力そのものを減殺する」形成権とされていました。つまり、遺留分を侵害する遺贈は、その限りで効力を失い、遺産が当然に遺留分権利者に戻る(物権的効果)と解されていました。

本事例のような未分割相続分の遺贈の場合、復帰した相続分は遺産分割の対象としての性質を失わず、遺留分権利者はその相続分を含めて遺産分割に参加できるとされていました(大阪高裁平成29年12月22日決定)。

【旧法における「私」の法定相続分の計算例】
本来の法定相続分(父の遺産):1/4
+ 復帰した母の相続分への遺留分:1/2 × 1/4 = 1/8
→ 合計 3/8 を法定相続分として遺産分割に参加可能

平成30年改正後(現行民法)の取り扱い

改正後の民法1046条1項では、遺留分は「遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求する権利」に改められました。つまり、遺産そのものを取り戻すことはできず、金銭による補償を請求する権利に変わりました。

現行法では、遺留分を行使しても父の遺産に対する相続分自体には影響しません。遺産分割と遺留分は別々の手続きで解決することが原則です。

ただし、当事者全員の合意があれば、遺産分割協議の中で遺留分問題を一緒に解決することも可能です。

遺留分侵害額請求の進め方:3つのステップ

  1. 内容証明郵便で請求の意思表示を行う
    遺留分侵害額請求権は形成権のため、意思表示をするだけで発生します。時効を止めるためにも内容証明郵便の活用が必須です。金額の確定は後でも構いませんが、遅延損害金は金額を明示して請求した時点から発生するため、できるかぎり金額も示すことが有利です。
  2. 侵害額の算定と交渉
    遺留分の基礎財産(遺贈・生前贈与を含む)をもとに侵害額を計算し、兄との交渉を行います。弁護士が代理することで冷静かつ的確な交渉が可能になります。
  3. 調停・訴訟へ
    兄が請求に応じない場合は、遺留分侵害額請求調停(家事手続法257条による調停前置)を申し立てます。調停が不成立であれば、民事訴訟を提起します。

請求できる期間(民法1048条)

  • 相続開始および遺留分侵害があったことを「知った時」から1年で時効消滅
  • 相続開始の時から10年で除斥期間により消滅
  • 時効が迫っている場合は、まず意思表示だけでも行うことが重要

自分で進めた場合と弁護士に依頼した場合の比較

比較項目 自分で対応 弁護士に依頼
旧法・新法の適用判断 相続開始日によって変わるため誤りやすい 相続開始日を確認し、正確な法的枠組みで対応
遺留分額の計算 生前贈与・遺贈の特定が必要で複雑 資料収集から算定まで一括サポート
内容証明の作成・発送 書式・表現の誤りで権利行使が不完全になるリスク 時効停止・意思表示として有効な書面を作成
遺産分割との調整 別手続きであることを理解せず混同しやすい 遺産分割と遺留分請求を戦略的に並行対応
調停・訴訟 本人申立ては可能だが証拠・主張の構成が困難 代理人として出廷・交渉・証拠収集を実施
費用(目安) 実費のみ(印紙・切手代など) 着手金+報酬金(事案により異なります)

高松市周辺でも、親族間の相続トラブルは年々増加しています。特に遺産分割が未了の段階で相続が重なる「数次相続」の場面は、法的な整理が複雑になりやすく、早期の専門家への相談が解決の近道です。

相続の全体像については、こちらのまとめページをご覧ください。

複雑な相続問題は、よつば法律事務所にご相談を

「数次相続」「遺産分割前の相続分の遺贈」「遺留分請求の期限」など、相続の問題は重なり合うほど複雑になります。一人で抱え込まず、まずは弁護士にご相談ください。

よつば法律事務所では、高松の弁護士として遺留分・遺産分割に関するご相談を丁寧にお受けしています。初回のご相談内容をお聞きした上で、最適な対応策をご提案いたします。

※ 本コラムは一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律相談ではありません。また、掲載内容は本コラム作成時点の情報に基づくものであり、その後の法改正等により内容が変わる場合があります。

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