「妻を生命保険の受取人に指定していたのに、自分より先に妻が亡くなってしまった」――このようなご相談は、決して珍しくありません。受取人を変更しないままにしていると、いざというとき保険金の受け取りで思わぬトラブルが生じることがあります。
本コラムでは、死亡保険金受取人が先に亡くなった場合の名義変更手続きと、変更しないまま被保険者が死亡した場合の法律上の扱いについて、高松市を拠点とするよつば法律事務所の弁護士が分かりやすく解説します。
まず確認!受取人が亡くなったらすぐに変更手続きを
保険法では、保険事故(被保険者の死亡)が発生するまでの間、保険契約者はいつでも保険金受取人を変更できます(保険法43条1項)。受取人に先立たれた場合は、できるだけ早く保険会社に連絡して名義変更手続きを行いましょう。
名義変更手続きの流れと必要書類
保険会社への名義変更は以下の手順で行います。書類の詳細は保険会社によって異なる場合がありますので、必ず事前に確認してください。
- 保険会社へ連絡し、名義変更請求書の書式を取り寄せる
- 必要書類を準備する(下記参照)
- 保険契約者・被保険者・新受取人が署名・押印する
- 保険会社の窓口または郵送で書類を提出する
- 保険会社から変更完了の通知を受け取る
主な必要書類
- 名義変更請求書(保険会社所定の書式)
- 保険証券
- 保険契約者の本人確認書類(運転免許証・健康保険証等)の写し
- 被保険者の本人確認書類の写し(契約者と被保険者が別人の場合)
- 契約者・被保険者・新受取人の印鑑登録証明書
提出費用は原則かかりません。提出期限は被保険者が生存している間(保険事故発生前)です。
変更しなかった場合はどうなる?法律上の取り扱い
万が一、受取人の変更手続きをしないまま被保険者が亡くなってしまった場合、保険法46条の規定により、死亡した受取人の法定相続人(またはその順次の法定相続人)が、被保険者の死亡時に現に生存している者であれば、新たに保険金受取人となります。
同時死亡の場合は?
保険契約者と指定受取人が同時に死亡したケースでも、最高裁は保険法の規定が類推適用されるとした上で、「指定受取人の死亡時点で生存していなかった者はその法定相続人になる余地はない」と判断しています(最判平成21年6月2日)。複雑な事情がある場合は弁護士に相談することをおすすめします。
自分で手続きする場合と弁護士に依頼する場合の比較
| 比較項目 | 自分で手続き | 弁護士に依頼 |
|---|---|---|
| 費用 | 書類取得実費のみ(数千円程度) | 弁護士費用が別途必要 |
| 手続きの難易度 | 比較的シンプル(書類収集・提出) | 複雑な事情も一任できる |
| 相続・受取人トラブル発生時 | 対応困難なケースが多い | ◎ 法的整理・交渉を代行 |
| 受取人の相続人が複数いる場合 | 取得割合の確認が必要 | ◎ 判例・法解釈をふまえ整理 |
| 変更しないまま被保険者が死亡した場合 | 法的扱いの確認が難しい | ◎ 保険法・判例に基づき対応 |
| 安心感 | 自己責任での判断 | ◎ 専門家のサポートで安心 |
名義変更そのものは比較的シンプルな手続きですが、すでに受取人変更をしないまま被保険者が亡くなっていた場合や、受取人の相続関係が複雑なケースでは、弁護士への相談をご検討ください。香川の皆様のお悩みに、地域密着でお応えします。
相続の全体像については、こちらのまとめページをご覧ください。
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