2026.04.06
コラム

限定承認という選択肢

投稿者:二川伸也

相続財産に借金がある場合の限定承認とは|手続きと申述書を弁護士が解説|よつば法律事務所

本コラムのレイアウト構成にはAIの支援を導入しています。皆様に複雑な法律問題を視覚的に分かりやすくお伝えするための試みです。


Inheritance Law — Qualified Acceptance

相続財産に借金が含まれている
「限定承認」という選択肢
― 手続きと申述書を弁護士が解説 ―

よつば法律事務所|香川県高松市の相続専門コラム


「父が亡くなったが、事業の借金がどれくらいあるかわからない。自宅や店舗も残したいが、借金まで全部引き継ぐのは怖い――」高松市周辺で個人商店を経営されていた親御さんを持つ方から、こうしたご相談をいただくことがあります。

そのような場合に検討したいのが「限定承認」という制度です。相続放棄では財産をすべて手放すことになりますが、限定承認なら相続した財産の範囲内だけで借金を返済し、残余財産があれば手元に残すことができます。

この記事では、限定承認の仕組み・申述手続き・注意点を、弁護士の視点からわかりやすく解説します。

限定承認とは何か―制度の仕組みと特徴

限定承認とは、相続財産を限度として相続債務を負うという相続の形です(民法922条)。「プラスの財産の範囲内でのみ借金を返す」ことができ、相続人の固有財産でのマイナス補填を防げます。

🌿 限定承認のポイント(民法922条) 相続人は相続財産の範囲を超えて相続債務を負わない。財産が残れば相続人が受け取ることができる。相続財産と相続人の固有財産とを分離して清算する仕組みです。

限定承認が有効な3つのケース

  • 債務超過かどうか不明な場合 ― 清算してみなければ収支がわからない事業承継等
  • 一部の財産だけは引き継ぎたい場合 ― 自宅・店舗など特定の財産を手元に残したいとき(価額弁済の活用)
  • 借入額が大きいが営業的には黒字の場合 ― 利払いさえなければ事業継続できる場合に相続財産の範囲で責任を負いつつ営業を続けるとき
⚠ 限定承認でも債務が消えるわけではありません 限定承認によって相続債務の総額が減るわけではなく、責任の範囲が相続財産に限定されるだけです。したがって、連帯保証人や相続債務の保証人は依然として全額の責任を負います。また、相続人が固有財産で弁済しても有効であり、後から取り戻すことはできません(民法705条)。

限定承認の申述手続き―ステップと注意点

申述のポイント

  • 相続人全員で共同して申述しなければなりません(民法923条)。一部の相続人だけでは行えません
  • 申述期限は相続開始を知った日から原則3か月以内(民法915条①)
  • 申述先は相続開始地を管轄する家庭裁判所(家事手続法201条①)
  • 申述費用は収入印紙800円(被相続人単位)+予納郵便切手

申述から清算までの流れ

① 限定承認申述書を家庭裁判所へ提出 3か月以内
相続人全員の連署で申述書・添付書類を提出。家庭裁判所の受理審判により効力が発生します。
② 相続財産清算人の選任 受理後
相続人が複数の場合、家庭裁判所が相続人の中から清算人を選任(民法936条①)。申述書に候補者を記載できます。
③ 公告・債権申出の受付 受理後5日以内に公告
限定承認をしたことを公告し、相続債権者に一定期間内の債権申出を促します(民法927条)。公告期間内に申し出なかった債権者は原則として配当から除斥されます。
④ 相続財産の清算・弁済
清算人が相続財産を管理・換価し、優先順位に従って弁済。残余があれば相続人が取得します。

申述時の主な添付書類

  • 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 申述人全員の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)
  • 被相続人の子(代襲者を含む)で死亡している者がいる場合、その者の戸籍謄本
  • 遺産目録(積極財産・消極財産をできる限り記載)

※ 法定相続情報証明制度を利用する場合は一覧図の写しで代用できる場合がありますが、事前に裁判所へご確認ください。

⚠ 単純承認とみなされると限定承認はできません 申述受理前に相続財産を処分した場合、「法定単純承認」とみなされ(民法921条1号)、限定承認の申述が却下されることがあります。相続財産には絶対に手をつけずに早めに弁護士へご相談ください。

単純承認・限定承認・相続放棄の比較

3つの選択肢をどう選ぶかは、財産と債務の状況によって異なります。

比較項目 単純承認 限定承認 相続放棄
プラスの財産 ◎ 全部取得 ○ 残余を取得 ✕ 取得不可
マイナスの財産(借金) 全額負担 ◎ 相続財産限度内 ◎ 負担なし
手続きの複雑さ 簡単(何もしなくてよい) 複雑(全員共同・清算手続き) △ 個別に申述可能
申述期限 不要 相続開始知った日から3か月 相続開始知った日から3か月
相続人全員の同意 不要 必要(全員共同) 不要(各自で選択可)
向いているケース 財産>債務が明確 財産・債務の収支が不明 債務超過が明確

※ 上記は一般的な目安です。個別の事情によって異なります。

まずはよつば法律事務所にご相談ください

「借金の額がよくわからない」「限定承認と放棄のどちらが得か判断できない」「相続人の一人が反対している」――香川の皆様のそのようなお悩みに、よつば法律事務所が丁寧にお答えします。

限定承認は相続人全員の同意と複雑な清算手続きが必要であり、弁護士なしで進めることが難しい手続きの一つです。また、申述期限(3か月)は意外と短く、気づいたときには手遅れというケースも。少しでも不安を感じたら、早めにご連絡ください。

ご予約はお電話で 087-802-2936
※ 本コラムは一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律相談ではありません。また、掲載内容は本コラム作成時点の情報に基づくものであり、その後の法改正等により内容が変わる場合があります。
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