2026.04.03
コラム

祭祀財産の承継

投稿者:二川伸也

お墓・仏壇・位牌の承継者が決まらない|祭祀財産の承継者指定調停とは|香川・高松の弁護士 よつば法律事務所

※ 本コラムのレイアウト構成にはAIの支援を導入しています。皆様に複雑な法律問題を視覚的に分かりやすくお伝えするための試みです。

祭祀財産の承継

お墓・仏壇・位牌を誰が引き継ぐか決まらない
――家庭裁判所の調停で
「祭祀財産の承継者」を指定する方法

公開日:2025年 | 執筆:よつば法律事務所 弁護士

「遺言で遺産はすべて兄が相続することになったが、お墓の管理費は誰が払うのか、位牌や仏壇は誰が引き取るのか、兄も名乗り出ない」――このようなお悩みは、高松市周辺でも多く寄せられます。

実は、お墓・仏壇・位牌などの「祭祀財産」は、通常の相続財産とは別のルールで承継先が決まります。被相続人が承継者を指定せず、地域の慣習も不明な場合は、家庭裁判所への調停(または審判)の申立てによって承継者を定めることができます(民法897条)。本コラムでは、その手続きと注意点を弁護士がわかりやすく解説します。

WHAT IS IT?そもそも「祭祀財産」とは何か

民法897条は、祭祀財産を通常の相続財産とは切り離し、祖先の祭祀を主宰すべき者が承継すると定めています。祭祀財産には次の3種類があります。

① 系譜(けいふ)
家系図・過去帳など、祖先の血統・続柄を記載したもの
② 祭具(さいぐ)
位牌・仏壇・神棚など、祖先の祭祀や礼拝に用いるもの
③ 墳墓(ふんぼ)
墓石・墓碑およびその設置範囲の土地の所有権・使用権
📌 遺骨も「祭祀財産に準じる」扱い
遺骨は厳密には民法897条の「祭祀財産」には含まれませんが、裁判例(東京家裁平成21年3月30日審判等)は祭祀財産に準じて扱うのが相当としています。したがって、遺骨の帰属についても同様の手続きで解決できます。
⚠ 重要:祭祀承継者は「放棄」も「辞退」もできません
祭祀承継者に一度指定されると、法律上当然に権利を承継し、相続放棄のように辞退することはできません。指定前に、意思や能力をよく確認することが大切です。

HOW IT'S DECIDED祭祀承継者はどのように決まるのか

祭祀承継者は、以下の優先順位で決まります。

  1. 被相続人による指定 生前行為・遺言を問わず、口頭・書面・黙示・明示いずれでも可。指定された者が承継者となります。
  2. その地方の慣習 指定がない場合、地域の慣習によって定められた者が承継者になります。
  3. 家庭裁判所の調停・審判 慣習も明らかでない場合は、家庭裁判所が調停または審判で承継者を指定します(民法897条2項)。

本事例のように、被相続人が指定せず、慣習も不明な場合は③の家庭裁判所への申立てが必要になります。

CRITERIA家庭裁判所はどのような基準で承継者を決めるのか

家庭裁判所は、単純に「長男だから」「財産を多く相続したから」という理由だけで承継者を決めるわけではありません。複数の事情を総合的に考慮して判断します(大阪高裁昭和59年10月15日決定)。

⚖ 家庭裁判所が考慮する主な判断要素
  • 被相続人と候補者との身分関係・生活の緊密度(長年の同居・介護・交流の実績など)
  • 候補者の祭祀承継の意思の堅固性・継続性(葬儀の喪主、法要の主宰実績など)
  • 候補者の祭祀を行う能力・環境(墳墓との地理的近さ、費用負担能力など)
  • 利害関係人の意見(他の相続人・親族が誰を望むか)
  • 被相続人の意思の推測(被相続人はどの人物に委ねるつもりだったか)
📝 承継者は必ずしも相続人・親族に限られません
承継者となるべき者に法律上の制限はなく、親族関係にない者を指定することも可能です(例:被相続人と長年親密に生活を共にした知人など)。また、特殊な事情がある場合には2名以上の共同承継が認められた事例もあります。

PROCEDURE具体的な手続きの流れ

STEP 1:祭祀財産承継者指定の調停申立て

まず、相手方(承継者として指定を求める相手)の住所地を管轄する家庭裁判所へ調停を申し立てます。審判の申立てからでも、通常は調停に付されます(家事事件手続法244条)。

  • 📄申立人・相手方の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)および住民票
  • 📄被相続人の戸(除)籍謄本(全部事項証明書)
  • 📄祭祀財産の目録(仏壇・位牌の一覧、墓地の使用権の情報など)
  • 📄墓地の土地全部事項証明書
  • 💡法定相続情報一覧図の写しで戸籍謄本等を代用できる場合があります(事前に裁判所へご確認ください)
📌 申立費用の目安
収入印紙1,200円 + 予納郵便切手(各裁判所の定めによる)

STEP 2:調停の進行と成立

調停委員会が当事者双方の主張を聴き、合意形成を支援します。合意が成立し調停条項として調書に記載されれば、確定した審判と同一の効力を持ちます(家事事件手続法268条1項)。

調停不成立の場合は、自動的に審判手続きに移行し(家事事件手続法272条4項)、裁判所が承継者を決定します。審判では、祭祀財産の引渡しを命ずることも可能です(家事事件手続法190条2項)。

STEP 3:遺骨の引き取りが問題になる場合

祭祀承継者が決定しても、その者が遺骨の引き取りを拒否する場合があります。この場合は別途「遺骨の引き取りの調停申立て」を行います。申立費用は同様に収入印紙1,200円です。

COMPARISONご自身で対応する場合と弁護士に依頼する場合の比較

香川の皆様が祭祀財産をめぐるトラブルに直面した際、弁護士に依頼することで手続きの複雑さを大幅に軽減できます。

比較項目 ご自身のみで対応 弁護士に依頼
申立書・目録の作成 祭祀財産目録など不慣れな書類が多い 正確な書類を迅速に作成
調停での主張・交渉 判断基準を知らないと不利な合意をしがちです 裁判例の判断基準に沿った主張を代理
審判への移行対応 調停不成立後の審判対応が困難になりやすい 審判移行後も継続して代理人として対応
遺骨の引き取り問題 別途申立てが必要と知らないケースが多い 祭祀承継と遺骨問題を一体的にサポート
精神的負担・時間コスト 大きい(兄弟間の感情的対立の中で一人対応) 小さい(弁護士が間に立ち、冷静な解決を支援)
費用 実費のみ(印紙・郵便切手 等) 弁護士費用+実費(要見積もり)

祭祀承継の問題は、遺産分割の不満が絡んで感情的になりやすいテーマです。第三者である弁護士が間に入ることで、兄弟関係を必要以上に悪化させずに解決できるケースが多くあります。

お墓・仏壇の承継でお困りの方へ
よつば法律事務所にご相談ください

「遺産は兄が取ったのに、なぜ自分がお墓の管理費を払わなければならないのか」「誰も承継を引き受けてくれない」――そのようなご不満やご不安、弁護士が丁寧にお聞きします。

よつば法律事務所では、相続・祭祀財産に関する豊富な知識と経験を持つ弁護士が、調停申立てから審判対応、遺骨問題まで一貫してサポートいたします。

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