お盆と法律の話
弁護士の二川です。
お盆の時期になると、帰省してご家族やご親戚と顔を合わせる機会が増えますね。ご先祖様のお墓参りをするなど、日本の夏らしい光景が広がります。
実は、こうしたお盆の時期の身近な出来事にも、法律が関係している場面があるのをご存知でしょうか。
普段はあまり意識することのない法律問題が、お盆をきっかけに表面化することもあります。
そこで今回は、お盆にまつわる法律問題として、「お墓の承継」「お盆休み」という2つのテーマについて、解説していきたいと思います。
まずは、「お墓の承継」です。
お盆の親族の集まりで、「このお墓、将来は誰がみるのか」という話題が出ることがあります。実は、お墓の承継は、お金や不動産といった通常の相続とは全く異なるルールで決められます。
法律上、お墓や仏壇などは「祭祀財産(さいしざいさん)」と呼ばれます。
民法第897条では、この祭祀財産について特別なルールが定められており、「祭祀主宰者」が引き継ぐことになります。相続人と限定されていません。
では、その「祭祀主宰者」はどのように決まるのでしょうか。
法律では、以下の優先順位が定められています。
① 亡くなった方の指定
亡くなった方が、遺言などで「お墓は長男に継がせる」というように、承継する人を指定していた場合は、その人が祭祀主宰者となります。必ずしも法定相続人である必要はありません。
② その地域の慣習
指定がない場合は、慣習によって決まります。例えば、「その家の長男が承継する」といった慣習がある地域では、それに従うことになります。
③ 家庭裁判所の判断
指定がなく、慣習も明らかでない場合や、親族間で意見が対立してしまった場合は、家庭裁判所に調停や審判を申し立てて決めてもらうことになります。
裁判所は、故人との関係性やこれまでの関わり方など、様々な事情を考慮して総合的に判断します。
このように、お墓の承継は遺産分割とは別の問題です。「相続放棄をしたからお墓の管理も関係ない」とはならない点に注意が必要です。
次に、「お盆休み」です。
多くの会社では「夏期休暇」としてお盆休みが設定されていますが、「世間がお盆休みだから、自分の会社も当然休みだろう」と思っていると、少し注意が必要です。
ご存知のとおり、お盆休みは、法律で取得が義務付けられている休日ではありません。
労働基準法第35条で定められている「法定休日」は、基本的に「毎週1回」または「4週間を通じて4回」とされています。
いわゆる「お盆休み」や年末年始休暇などは、会社が独自に福利厚生として設けている「法定外休日(所定休日)」という位置づけになります。
そのため、会社の就業規則に「お盆休み」の定めがなければ、カレンダー通り出勤日となることも法的には問題ありません。
もちろん、労働者には法律で認められた権利として「年次有給休暇」があります(労働基準法第39条)。会社の定めたお盆休みがない場合でも、ご自身の有給休暇を使ってお休みを取得することは可能です。
今回は、お盆にまつわる身近な法律問題について解説しました。
普段は意識しない法律も、私たちの生活の様々な場面に関わっています。特に、お墓の承継などは、親族間の話し合いがこじれてしまうと、大きなトラブルに発展しかねません。
もし、ご自身の身の回りで何かお困りのこと、ご不安なことがございましたら、一人で抱え込まず、ぜひ一度、弁護士にご相談ください。
問題が大きくなる前に、法的な観点から解決の糸口を見つけるお手伝いができます。
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