控訴審で結論は変わるか(刑事編)
今回は、刑事裁判について、控訴審で結論が変わるものなのかというお話をします。
実は、判決後に控訴する割合は、民事事件の方が圧倒的に多いです。
なぜなら、民事事件は一審で和解することが多いからです。
和解できずに判決まで行ったという時点で、双方の「納得できる解決」の中身がかけ離れているわけですね。
なので、判決に対して少なくともどちらかは「全く納得できん」と思うことになり、控訴するわけです。
他方、刑事裁判の場合、そもそも「和解」なんてものがありません。
なので、全てが判決となり、ほとんどは、そのまま判決を受け入れます。
ただ、執行猶予になるかが微妙な事案で実刑になってしまったり、あと被告人が弁護人とはだいぶ違う思考回路の持ち主だったりした場合には、控訴となります(検察官控訴のパターンはここでは省きます)。
もちろん、そもそもが否認事件であり、有罪判決を受けてしまった場合も控訴になりますね。
さて、そうやって有罪判決を受けた被告人が控訴する場合にどれほど結論が変わるものか。
これも、統計データを見ているわけではないのですが、意外と変わります。
刑事裁判の控訴審で結論が変わるケースには、大きく2つのパターンがあります。
1、一審段階と状況が変わったので判決が変わるパターン
2、一審段階と状況が変わらないのに判決が変わるパターン
それぞれについて説明します(なお、否認事件で控訴した結果無罪になるパターンは後述します)。
1は、わかりやすくいえば、一審係属中には成立していなかった被害者側との示談が成立したようなケースですね。
一審では、示談(被害弁償)ができていなかったので、被害が回復されていないことを前提にした判決になります。
ところが、控訴して控訴審の審理をするまでの間に示談がまとまることがあるんですね。
こうなると、控訴審では被害回復がなされたという状況を踏まえて判決をするので、一審から判決内容が変わることが多いです。
最近だと「頂き女子りりちゃん」とか呼ばれている人の控訴審がこのパターンで少し刑期が短くなったりしてました。
まあ、あの事件の場合は、頂き女子から金を受け取っていたホストが被害者に一部弁償したことが理由とのことで、被告人(頂き女子)本人が何かしたわけでもないのでちょっと特殊なケースではあります。
話を戻しますと、要は一審とは状況が変わると控訴審で判決が変わることは珍しくないのです。
では2はどういうことか。
これは、単純に控訴審の裁判官が「一審は少し厳し過ぎんか」と考えて結論を変えてくるパターンですね。はっきりいってレアケースです。
ただ、私が過去に経験した事件で、一回だけこのパターンがありました。
人身事故を起こして刑事裁判になり、被害結果が重大だったこともあって実刑となってしまったのですが、事故の背景には明らかに病気の形跡がありました。
そこで、控訴審で医師の証人尋問を行い、事故が病気に起因した可能性が高いこと、この病気を事前に自覚することがいかに難しいかを証言してもらった結果、控訴審では執行猶予がついたというものです。
なかなかお医者さんに証言台に立ってもらうのは難しいのですが、病院に行きお願いしたところ快く引き受けてくださり、結果も結果だったのでとても印象に残っています。
あとは、否認事件で一審有罪だったものが、高裁で無罪に転化するパターンもあります。
これには、新証拠が出てきたケースと、従前の証拠に対する評価が一審の裁判官と控訴審の裁判官で分かれたケースがあります。
ただし、刑事事件では、基本的に一審で出していない証拠を控訴審で出すことはできず、提出のためには「やむを得ない理由」が必要になります。そういう意味では、一審での活動が非常に重要です。
なお、刑事事件でも、控訴審までが同じ結論だった場合に最高裁で覆すのは困難です。
特に刑事事件は、裁判が始まる前の、捜査の初期段階での対応が最も大切になってくるので、身内の方が逮捕された場合などはすぐに弁護士に相談されることをお勧めします。
NEW
-
2025年01月24日 11:01:0030代最後の日私事ですが、明日をもって40歳を迎えます。 30...
-
2025年01月10日 13:00:00遺産分割事件で完全勝利相続には色々なもめごとが起こります。 ・お母さん...
-
2024年12月26日 21:20:00ブログの更新弁護士の二川です。 HPの作成をお願いした業者の方...
-
2024年12月02日 16:02:00ゆるせないこと最近、法律とか裁判とかに関するテーマばかりだっ...
-
2024年11月26日 21:53:00相続相談増加弁護士の二川です。 最近、相続分野のお問い合わ...
-
2024年11月24日 21:09:00高校生との交流弁護士の二川です。先日、地元公立高校の授業に、...
-
2024年11月05日 20:03:00マルシェに出店してみた。弁護士の二川です。 先日、ご縁があってマルシ...
-
2024年10月25日 12:25:00控訴審で結論は変わるか(刑事編)今回は、刑事裁判について、控訴審で結論が変わる...
-
2024年10月15日 20:05:00ながら運転弁護士の二川です。 先日、朝の散歩をしていると...
-
2024年10月11日 10:53:00控訴審で結論は変わるか(民事編)日本は三審制であることは皆さんご存じかと思いま...
-
2024年09月16日 20:57:00動物に癒やされる。弁護士の二川です。 写真は、お客様から頂戴した...
-
2024年09月02日 18:00:00印象操作我々は、裁判で主張を戦わせるとき、あえて嘘を書...
-
2024年08月30日 20:05:00異業種交流会にて弁護士の二川です。先日、異業種交流会に出席した...
-
2024年08月09日 19:49:00恋愛リアリティショーを見た。弁護士の二川です。 最近立て続けに、動画配信サ...
-
2024年07月24日 18:00:00謎のルール(踏切直前停止について)※本日のブログは、わが国にある「不合理なルール(...
-
2024年07月02日 10:54:00「後遺障害」って何なのさ(2)前回のブログでは、後遺障害の定義や、それが認め...
-
2024年06月25日 10:30:00「後遺障害」って何なのさ(1)「後遺症」という言葉があります。これは、何か大...
-
2024年06月14日 20:09:00相続分野の解決事例弁護士の二川です。 今回のブログでは、相続分野...
-
2024年06月05日 13:09:00死亡事故で弁護士に依頼する意味交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するのって、ど...
-
2024年05月07日 10:01:00「和解」とは何か世の中に星の数ほどある民事裁判。その中には、何...
-
2024年05月03日 14:02:00アンテナを張る弁護士の二川です。 先日、飲食店をやっておられる...
-
2024年04月29日 13:54:00例え話弁護士の二川です。 先日飲み会がありました。 レ...
-
2024年04月05日 15:00:00焦った話(3)司法試験本番当日に会場を間違え、危うく不戦敗と...
-
2024年03月28日 11:06:00焦った話(2)前回のブログ(焦った話(1))では、人生のかか...
-
2024年03月15日 10:31:00焦った話(1)「慌てたり、うろたえたりする姿が想像できない」 ...
-
2024年02月22日 20:26:00猫の話弁護士の二川です。昔、どこかの高校入試を受けて...
-
2024年02月22日 11:37:00心がぽかぽかするという話私事ですが、昨年10月に長女が誕生しました。 長...
-
2024年01月31日 14:43:00なぜ、弁護士になろうと思ったのか初めてお目にかかる方とお話ししていて、よく受け...
-
2024年01月25日 21:11:00中小企業と弁護士(主に雑談)弁護士の二川です。新年になり、すぐブログを書こ...
-
2023年12月31日 12:52:00今年の仕事終了弁護士の二川です。独立した初年、最後の仕事がた...
-
2023年12月19日 21:00:00お歳暮弁護士の二川です。画像は、おしゃれなお歳暮です...
-
2023年12月10日 21:00:00香川大学法学部 高校生懸賞論文2023弁護士の二川です。先日、香川大学にて、「香川大...
-
2023年11月20日 20:00:00事業承継セミナー弁護士の二川です。 先日、事業承継セミナーに司...
-
2023年11月14日 14:20:00ビール世の中には、偶然のたまものによって一大産業が築...
-
2023年11月12日 13:21:00譲渡動物説明書の話弁護士の二川です。 我が家では保護犬だった柴犬の...
-
2023年10月28日 18:00:00AIをきっかけに思ったこと弁護士の二川です。ブログって書こうという意識付...
-
2023年10月12日 19:47:00他士業の先生との協力弁護士の二川です。ブログは定期的に更新した方が...
-
2023年09月23日 15:55:00島耕作に見る法律の話弁護士の二川です。数ヶ月前から漫画アプリを複数...
-
2023年09月19日 18:06:00自己紹介(弁護士二川伸也)弁護士の二川伸也(ふたがわしんや)です。初めて...
-
2023年08月29日 18:23:00「勝訴」と「敗訴」弁護士をしていると言うと、飲み会の席な...
-
2023年05月27日 20:15:00開業のご挨拶このたび、よつば法律事務所を開設いたしました。...
カテゴリ
サブカテゴリ
ARCHIVE
- 2026年09月 1
- 2026年08月 1
- 2026年07月 2
- 2026年06月 2
- 2026年05月 1
- 2026年04月 4
- 2026年03月 4
- 2026年02月 3
- 2026年01月 2
- 2025年12月 2
- 2025年11月 2
- 2025年10月 2
- 2025年09月 2
- 2025年08月 2
- 2025年07月 3
- 2025年06月 2
- 2025年05月 2
- 2025年04月 3
- 2025年03月 3
- 2025年02月 4
- 2025年01月 5
- 2024年12月 2
- 2024年11月 3
- 2024年10月 3
- 2024年09月 2
- 2024年08月 2
- 2024年07月 2
- 2024年06月 3
- 2024年05月 2
- 2024年04月 2
- 2024年03月 2
- 2024年02月 2
- 2024年01月 2
- 2023年12月 3
- 2023年11月 3
- 2023年10月 2
- 2023年09月 2
- 2023年08月 1
- 2023年05月 1