2026.04.07
コラム

共有取得した不動産の分割

投稿者:二川伸也

相続で共有になった不動産、兄が住み続けている…分割できる?弁護士が解説|よつば法律事務所

Co-ownership Division After Inheritance

相続で兄と共有になった自宅、兄だけ住み続けている。
名義をどう整理すればよいのか?

遺産分割で不動産を共有にしたものの、実際には一方だけが利用している──そんな「宙ぶらりんな共有」を解消する方法を弁護士が解説します。

本コラムのレイアウト構成にはAIの支援を導入しています。皆様に複雑な法律問題を視覚的に分かりやすくお伝えするための試みです。

「相続のとき、とりあえず兄と半々で共有にした。でも実際には兄家族が住んでいるだけで、私は何も使えていない。このままでいいのだろうか…」

香川の皆様からも、このようなご相談をいただくことがあります。共有名義は「とりあえず」の解決策として選ばれることがありますが、後から「やはりすっきりさせたい」という気持ちになるのは自然なことです。安心してください。遺産分割後に共有になった不動産は、後から分割を求めることができます。

遺産分割後の共有は「民法上の共有」──いつでも分割請求できる

相続財産である不動産が遺産分割協議を経て共有になると、その後の法律関係は「遺産共有」ではなく民法上の通常の共有関係となります。民法249条以下の共有の規定が適用され、分割しない旨の契約がない限り、共有者はいつでも分割を請求できます(民法256条1項)。

「もう遺産分割は終わった話だから」と思い込んでいる方もいますが、共有物分割は遺産分割とは別の手続きです。遺産分割協議書に「分割しない」という合意がない限り、何年経っていても分割を請求する権利は失われません。

解決の3つのルート──調停・訴訟・当事者間の話し合い

ルート①
家事調停・民事調停
兄弟間など身分関係のある当事者間では、家庭裁判所への「遺産分割後の紛争調整調停」が利用でき、柔軟な解決が可能です。民事調停は簡易裁判所への申立てが基本ですが、家事調停も実務上は幅広く活用されています。
ルート②
共有物分割請求訴訟
調停が不成立の場合は、地方裁判所または簡易裁判所への民事訴訟を提起します。裁判所は当事者の主張に拘束されず、最も適切な分割方法を命じることができます。
ルート③
当事者間の合意
兄との話し合いがまとまれば、書面(合意書)を作成して登記手続きを進めることも可能です。最もコストが少ない解決方法です。

裁判所が命じる分割方法は3種類

令和3年の民法改正により、裁判所による共有物分割の方法が明文化されました。

①現物分割(原則)
  • 土地を測量・分筆して物理的に分ける
  • 各自が単独所有の土地を取得できる
  • 分筆登記が必要(測量費用が発生)
②価格賠償(全面・一部)
  • 一方が全部を取得し、他方に金銭を支払う
  • 支払能力があることが条件
  • 令和3年改正で明文化(民法258条2項)
③競売(二次的手段)
  • 現物分割・価格賠償が困難な場合に命じる
  • 令和3年改正で二次的な扱いに変更
  • 売却代金を持分割合で分配する

価格賠償について:最高裁平成8年10月31日判決以降、「共有者の1人が共有物全部を取得し、他の共有者に金銭で補償する」方法(価格賠償)が認められています。ただし、支払能力の欠如や当事者間の実質的公平を害する場合は認められないこともあり、具体的な事情を踏まえた判断が必要です。

自分で進める場合と弁護士に依頼する場合の比較

比較項目 自分で対応 弁護士に依頼
申立て先の判断 家事調停か民事調停か判断が難しい 事案に合わせて最適な申立て先を選択
申立書・訴状の作成 分割方法の特定・図面の添付など複雑 測量・分筆登記の段取りも含めて準備
分割方法の選択 現物・価格賠償・競売の使い分けが不明 依頼者に有利な分割方法を主張・立証
測量・分筆登記 土地家屋調査士・司法書士との連携が必要 専門家と連携してスムーズに進行
調停・訴訟での交渉 感情的になりがちで不利な条件を飲みやすい 代理人として冷静に条件交渉・対応
費用(目安) 申立印紙1,200円+実費 着手金+報酬金(事案により異なります)

⚠️ 注意:遺産分割調停の中ですでに「共有後は第三者に売却して代金を分ける」といった分割方法が合意されていた場合、その後に共有物分割の訴えを提起しても「協議が調わないとき」の要件を欠くとして却下された判例があります(東京地裁平成29年3月16日判決)。先の合意の内容を確認することが重要です。

高松市周辺でも、相続後の共有不動産をめぐるご相談は少なくありません。「とりあえず共有」の状態が長引けば長引くほど、名義人が増えたり(相続の発生による)、話し合いが複雑化したりします。早期に解決の方針を立てることが大切です。

相続の全体像については、こちらのまとめページをご覧ください。→

共有不動産のお悩み、よつば法律事務所にご相談ください

「兄と共有になった実家を整理したい」「名義のままで何十年も放置してしまった」「相手が話し合いに応じない」──どのような状況でも、まず現状の整理からご一緒します。

よつば法律事務所では、香川・高松の弁護士として、相続後の共有物分割から調停・訴訟まで一貫してサポートいたします。お気軽にお電話ください。

※ 本コラムは一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律相談ではありません。また、掲載内容は本コラム作成時点の情報に基づくものであり、その後の法改正等により内容が変わる場合があります。

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