2026.04.07
コラム

介護による寄与分の協議

投稿者:二川伸也

長年の介護・療養看護、遺産分割に反映できる?「寄与分」を弁護士が解説【高松・香川】

本コラムのレイアウト構成にはAIの支援を導入しています。皆様に複雑な法律問題を視覚的に分かりやすくお伝えするための試みです。
Contribution to Estate

長年、親の介護を一手に引き受けてきた。
その貢献、遺産分割に正当に反映させる方法があります

「寄与分」の制度と協議書の書き方——高松市の弁護士が具体的な条項例を交えてわかりやすく解説します

— Yotsuba Law Office —

「父の療養看護を何年もうちの夫婦だけで担ってきた。遺産は兄弟で均等に分けると言われても、それはあんまりではないか……」

香川の皆様からこのようなご相談をいただくことは少なくありません。法律はこうした貢献をきちんと評価する仕組みを用意しています。それが「寄与分」という制度です。全員が合意していれば、協議書にその旨を盛り込むだけで、法定相続分を超える遺産を取得できます。

「寄与分」とは——法定相続分を超える取得を認める制度

定義

寄与分とは、被相続人の財産の維持または増加に特別に貢献した相続人に対して、遺産分割において法定相続分を超える財産の取得を認めることで、相続人間の公平を図る制度です(民法904条の2)。

寄与として認められる主な行為

🏥
療養看護
病気や高齢の親の介護・看護を継続的に行った場合(本事例はこれに該当)
🏢
事業従事
被相続人の事業を無償または低報酬で長年手伝い、財産の維持・増加に貢献した場合
💰
財産給付
被相続人に財産を提供して財産の維持・増加に貢献した場合
🏠
財産管理
被相続人の不動産や資産を管理し財産の維持に寄与した場合
配偶者の貢献はどうなる?
本事例のように「妻の分も含めて」認めてほしいという場合、配偶者(妻)は相続人ではないため、直接寄与分を主張することはできません。ただし、相続人(夫)の履行補助者としての貢献として、夫の寄与分として評価されます。全員の合意があれば、妻の貢献も加味した取り分を協議書に反映させることが可能です。

寄与分の決め方——協議が原則、まとまらなければ調停・審判

寄与分はまず共同相続人全員の協議で決めます(民法904条の2第1項)。協議がまとまらない場合や不在者がいる場合は、家庭裁判所の調停・審判によって定められます(同条2項)。

寄与分の主張で押さえるべき重要ポイント

  • 寄与分は遺産分割の主張と一緒にしなければならない。寄与分だけを単独で請求することはできない(民法904条の2第4項)
  • 登記手続において「寄与分」を原因とする登記はできない。協議書で取得財産を特定する必要がある
  • 相続開始から10年経過後は具体的相続分(寄与分考慮)による分割が認められなくなる(令和3年改正)——早期手続きが重要
  • 協議書に寄与分の記載をすると、後日の「蒸し返し紛争」を防止できる
10年ルールへの注意(令和3年民法改正)
相続開始から10年を経過した遺産分割では、寄与分を考慮した「具体的相続分」による分割が認められなくなります(民法904条の3)。寄与分を主張したい方は、できるだけ早期に遺産分割の手続きを開始することが非常に重要です。施行日(令和5年4月1日)前に相続が開始した場合も遡及適用されます。

遺産分割協議書の書き方——条項例3パターン

全員が寄与分について合意している場合、協議書には「誰が何を取得するか」を記載するだけで足ります。ただし、後日の紛争予防や、なぜ特定の相続人が多く取得するのかを明確にするために、以下のような条項を追加することが推奨されます。

  • 例1:寄与分を金額で定める場合
    相続人甲野一郎が被相続人の療養看護に努めたことによる寄与分を金〇〇〇万円と定める
    寄与分を金銭で明確にする方法。取得財産を別途特定する必要があります。
  • 例2:寄与分を割合で定める場合
    相続人甲野一郎が被相続人の療養看護に努めたことによる寄与分を遺産の〇〇分の〇と定める
    遺産総額が変動する場合や、金額を特定しにくい場合に適しています。
  • 例3:他の相続人が寄与分を主張しないことを確認する条項(例1・例2に追加)
    1 相続人甲野二郎および同乙川良子は、寄与分を主張しない
    2 相続人全員は、今後、寄与行為に関する財産上の請求をお互いにしない
    全員が合意した証跡を残し、後日の蒸し返しを防止するための条項です。
本事例への当てはめ
兄(あなた)が遺産全体の3分の2、弟と妹がそれぞれ6分の1ずつという合意内容を協議書に記載します。妻の貢献も含めた寄与分を金額または割合で明記し、例3の条項も追加することで、全員が納得した形の完成した協議書が作成できます。

「寄与分あり」と「法定相続分のみ」の比較——弁護士に相談するメリット

比較項目 法定相続分のみで分割 寄与分を反映して分割
取り分の公平性 介護などの貢献が一切考慮されず、均等に分割される 長年の貢献が取り分に反映され、実質的な公平が実現公平
手続きの複雑さ シンプル。遺産分割協議書で各自の取得財産を記載するだけ 寄与分の合意・金額算定・条項の記載が必要。弁護士のサポートが有効要注意
後日の紛争リスク 「あの時の介護は?」という不満が残りやすい 寄与分条項を明記することで蒸し返しを防止リスク低減
配偶者の貢献 反映されない 相続人の寄与として評価・反映できる対応可能
合意が得られない場合 法定相続分での分割となりやすい 家庭裁判所への調停・審判申立てで解決を図る早期対応を
10年ルールとの関係 10年経過後も法定相続分での分割は可能 10年以内に手続きを始めないと寄与分が主張できなくなる期限に注意
相続の全体像については、こちらのまとめページをご覧ください。

遺産分割・遺言・相続放棄など、相続全般の解説をまとめています

「介護してきたのに、遺産は均等と言われた」——まずご相談ください

寄与分の金額算定・協議書の作成・他の相続人との交渉など、専門家が関与することでスムーズな解決につながります。高松市周辺の皆様の相続問題、よつば法律事務所が丁寧にサポートします。

※ 本コラムは一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律相談ではありません。また、掲載内容は本コラム作成時点の情報に基づくものであり、その後の法改正等により内容が変わる場合があります。

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