2026.04.06
コラム

10年経過後の遺産分割

投稿者:二川伸也

相続から10年が経過——今から遺産分割できる?特別受益はどうなる?|よつば法律事務所

10-Year Rule & Estate Division

相続から10年が経過——
今から遺産分割できる?特別受益はどうなる?

令和5年施行の相続法改正で新設された「10年ルール」の内容と、例外・経過措置・今すぐ取るべき行動をわかりやすく解説します。

本コラムのレイアウト構成にはAIの支援を導入しています。皆様に複雑な法律問題を視覚的に分かりやすくお伝えするための試みです。

「父が亡くなってもう9年が経つ。兄が住宅購入に3,000万円を父からもらっていたのに、遺産分割をずっと先送りにされてきた。今から特別受益を主張して協議を進めることはできるの?」

このようなご相談は、高松市周辺でも多く寄せられます。相続人の間で対立があったり、感情的な理由で分割を先送りにしていると、気づかないうちに法律上の大きな不利益を被ることがあります。

令和5年4月1日、相続法が改正され、相続開始から10年を経過した後の遺産分割は、原則として法定相続分によるとのルールが新設されました(民法第904条の3)。この記事では、改正の内容と今すぐ取るべき行動をわかりやすく解説します。

結論10年を過ぎると特別受益・寄与分が原則として主張できなくなります

改正法により、相続開始から10年を経過した後の遺産分割では、以下の2つが原則として考慮されなくなります。

  • 特別受益(民法第903条):被相続人から生前に受けた贈与(住宅購入資金など)の持ち戻し
  • 寄与分(民法第904条の2):被相続人の財産形成・療養看護などへの貢献

つまり、兄が3,000万円の住宅資金をもらっていても、10年を過ぎると原則としてそれを考慮せず、法定相続分どおりに分割することになります。

⚠ 本事例への直接的な影響:相談者の父が亡くなってすでに9年。あと1年以内に遺産分割調停を申し立てなければ、兄への特別受益(3,000万円)を主張する権利を原則として失う可能性があります。今すぐ行動することが重要です。

詳細10年ルールの内容・例外・経過措置

改正の趣旨——なぜ10年ルールが設けられたのか

相続が長期間放置されると、相続人の数が増え続け、行方不明者も現れ、遺産分割がいっそう困難になります。また、所有者不明の土地・建物が社会問題となっています。こうした状況の解消を促進するため、特別受益・寄与分の主張に時間的制限が設けられました。

10年経過後の遺産分割の流れ




相続開始
被相続人が死亡。この時点から10年の起算が始まります。



10年以内
特別受益・寄与分を考慮した「具体的相続分」による遺産分割が可能。



10年経過後
原則として法定相続分による遺産分割のみ。特別受益・寄与分は考慮されません(例外あり)。

10年ルールの2つの例外

例外① 10年以内に調停・審判を申立てた場合 相続開始から10年以内に、相続人のいずれかが家庭裁判所に遺産分割の請求(調停・審判の申立て)をしていれば、申立てをしていない相続人も含めて具体的相続分による分割が可能です(民法第904条の3第1号)。
例外② やむを得ない事由があった場合 10年満了前6か月以内に、申立てをすることができない「やむを得ない事由」があった相続人は、事由消滅から6か月以内に申立てをすれば具体的相続分による分割が可能です(民法第904条の3第2号)。単に死亡を知らなかっただけでは該当しません。

相続人全員の合意があれば10年後も具体的相続分で分割可能

10年を経過した後でも、相続人全員が合意すれば、特別受益・寄与分を考慮した具体的相続分による遺産分割協議を成立させることは可能です。

経過措置——令和5年4月1日より前の相続に注意

📌 令和5年4月1日より前に相続が開始していた場合:改正法施行日(令和5年4月1日)以前に相続が発生していた場合にも、この10年ルールは適用されます。ただし、経過措置として令和10年3月31日までは具体的相続分による遺産分割を求めることができます。この猶予期間内に手続きを進めることが重要です。

手続き今すぐ取るべき行動——調停申立てのステップ

本事例のように相続開始から9年が経過している場合、特別受益を主張するためには1年以内に遺産分割調停を申し立てることが急務です。

  1. 弁護士に相談し、特別受益の主張内容・証拠を整理します。兄が受け取った3,000万円を示す資料(贈与を示す書類・通帳・確定申告書等)を収集します。
  2. 遺産分割調停申立書を作成します。相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所に申し立てます。
  3. 必要書類を添付して申立てを行います(収入印紙1,200円+予納郵便切手)。
  4. 調停が不成立の場合は審判に移行します。審判申立ての場合も管轄裁判所は相続が開始した地を管轄する家庭裁判所です。

調停申立てに必要な主な書類

  • 被相続人の出生から死亡までの全戸籍謄本(除籍・改製原戸籍を含む)
  • 相続人全員の戸籍謄本・住民票または戸籍附票
  • 遺産に関する証明書(不動産登記事項証明書・固定資産評価証明書・預貯金残高証明書等)
  • 相続関係図
  • 特別受益を示す資料(贈与契約書・通帳・確定申告書控え等)

比較自分で対応する場合と弁護士に依頼する場合

10年ルールが絡む相続問題は、時間との戦いでもあります。香川の皆様の状況に合わせて、下の表を参考にご検討ください。

比較項目 ご自身で対応 弁護士に依頼
10年期限の把握 期限を見落とすリスクがある 期限を正確に把握し早急に対応
特別受益の証拠収集 何を集めればよいか判断しにくい 必要な証拠を的確に収集・整理
調停申立書の作成 記載内容の不備で不利になることも 特別受益を的確に主張した書面を作成
調停・審判への対応 期日への本人出頭・主張整理が困難 弁護士が代理人として全面対応
費用目安 実費のみ(印紙代・郵送料など) 着手金+報酬(案件内容による)
こんな方に向いている 全員合意済み・特別受益の争いがない場合 10年期限が迫っている・特別受益を主張したい方

※ 費用は事案の複雑さや財産額によって異なります。まずはお気軽にご相談ください。

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「相続から何年も経ってしまった」「兄の特別受益を今から主張できるか不安」「調停を急いで申し立てなければならないかもしれない」——そのようなお悩みを、私たちは丁寧にお聞きします。

10年の期限が迫っている場合は特に、早急にご相談ください。証拠収集から調停申立て、審判対応まで、トータルでサポートいたします。

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※ 本コラムは一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律相談ではありません。また、掲載内容は本コラム作成時点の情報に基づくものであり、その後の法改正等により内容が変わる場合があります。

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