2026.04.06
コラム

判断能力不十分な相続人

投稿者:二川伸也

知的障害のある息子が相続人に。保佐・補助制度で遺産分割を進める方法|よつば法律事務所

本コラムのレイアウト構成にはAIの支援を導入しています。皆様に複雑な法律問題を視覚的に分かりやすくお伝えするための試みです。
Limited Capacity & Supported Decision-Making

知的障害のある息子が相続人に。
「保佐」か「補助」か——
判断能力が不十分な相続人への正しい対応

保佐・補助の違い、同意権・代理権の申立て方法、急を要する場合の財産管理者選任まで、弁護士が解説します。

「夫の遺産を分割したいのですが、息子には知的障害があり、単独で手続きを行うことに不安があります」——このようなご相談は、高松市周辺でも多く寄せられます。

判断能力が「全くない」わけではないが、単独では遺産分割ができない場合、前回ご紹介した「後見」ではなく、「保佐」または「補助」の制度を利用します。どちらを選ぶかは本人の判断能力の程度によって異なります。

「後見」との違い——保佐・補助は判断能力が残っている場合に使います

成年後見制度には3段階があります。判断能力が全くない場合は「後見」(前回コラム参照)、判断能力が残っているが援助が必要な場合は「保佐」または「補助」を利用します。

中等度の障害向け|保佐

保佐開始

判断能力が著しく不十分な方が対象。中等度の知的障害がある場合などに適用。

保佐人には遺産分割への同意権・取消権が法律上当然に付与される(民法13条1項)。代理権は別途申立てが必要。

同意権:当然付与 代理権:申立て必要
軽度の障害向け|補助

補助開始

判断能力が不十分な方が対象。軽度の知的障害がある場合などに適用。補助開始自体に本人の同意が必要(民法15条2項)。

補助人には同意権も代理権も法律上当然には付与されない。遺産分割のためにはどちらも別途申立てが必要。

同意権:申立て必要 代理権:申立て必要

📌 ポイント:保佐人・補助人が本人に代わって遺産分割を行うには「代理権付与の申立て」が必要です。また本人が保佐人・補助人の同意を得て自ら行う方法もあります。いずれの場合も、代理権・同意権の付与申立ては開始申立てとは別個の申立てで、1件につき収入印紙800円が別途必要です。

保佐開始申立てから遺産分割までの手順

1

家庭裁判所への申立て

保佐(または補助)開始の申立て+代理権(同意権)付与の申立て

被保佐人(被補助人)となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所へ申立て。申立人は本人・配偶者・四親等内の親族・検察官等。申立費用は収入印紙1,600円(申立手数料)+2,600円(登記手数料)、予納郵便切手、鑑定料が必要。代理権または同意権付与の申立ては別途800円。

2

審判確定後

保佐人(補助人)が代理または同意のもとで遺産分割協議を行う

代理権が付与された場合は保佐人・補助人が本人を代理して協議に参加。同意権が付与された場合は本人が保佐人・補助人の同意を得て自ら協議を行う。保佐人の同意なく行った遺産分割協議は取消しの対象となる(民法13条4項)。

3

協議成立後

遺産分割協議書の作成・各種手続き

戸籍謄本等・各相続人および保佐人(補助人)の印鑑登録証明書・後見登記事項証明書(または選任審判書・確定証明書)を添付して不動産の相続登記・預貯金の払戻し等を行う。

申立てに必要な主な書類

  • 本人の戸籍謄本・住民票または戸籍附票
  • 保佐人(補助人)候補者の住民票または戸籍附票
  • 本人の診断書(家庭裁判所所定の様式)・本人情報シート
  • 成年後見登記がされていないことの証明書(法務局発行)
  • 本人の財産に関する資料(不動産登記事項証明書・預貯金残高証明書等)
  • 同意権または代理権を要する行為に関する資料(契約書写し等)
💡 急を要する場合——審判前の保全処分(財産管理者の選任)

保佐・補助開始の審判が確定するまでの間に、第三者(他の相続人など)が本人を不当に誘導して相続分を譲渡させようとするような急迫な事情がある場合、保佐(補助)開始申立てと同時またはその後に財産管理者の選任保佐命令(補助命令)の申立てをすることができます(家事事件手続法134条・143条)。

保佐命令の審判が効力を生じると、本人が財産管理者の同意なくして行った民法13条1項の行為は取消すことができます。補助命令の場合は同意権付与の対象となっている行為について同様の効果があります。

保佐人の同意なく行われた遺産分割協議の意思表示は、後から取消すことができます(民法13条4項・120条1項)。また、補助人に同意権が付与されているにもかかわらず補助人の同意なく行われた場合も同様です。手続きの順序を誤ると協議が無効になるリスクがあります。必ず申立て確定後に協議を進めてください。

自分で進める場合と弁護士に依頼する場合の比較

保佐・補助の選択や同意権・代理権付与の申立ては、状況の見極めが重要です。高松市周辺でお悩みの方の参考に以下の表をご覧ください。

比較項目 自分で手続き 弁護士に依頼
制度の選択 保佐か補助かの判断基準が分かりにくい 障害の程度・状況を踏まえた制度を提案
権限の申立て 同意権・代理権のどちらが必要か、両方必要かが判断難しい 遺産分割に必要な権限を適切に申立て
本人同意の確認 補助開始・代理権付与には本人同意が必要だと知らない場合も 手続き要件を確認しながら進行をサポート
保全処分対応 急を要する状況での保全処分申立てを知らない場合も 財産管理者選任・保佐命令の申立てまで対応
協議書の作成 保佐人・補助人名義の記載方法が分かりにくい 法的に有効な協議書を正確に作成
費用 申立費用(印紙計4,200円~+鑑定料等)のみ 弁護士費用が別途必要(内容により異なる)
📋
相続の全体像については、こちらのまとめページをご覧ください。

まずは、よつば法律事務所にご相談ください

「知的障害のある家族が相続人になっており手続きをどう進めればよいか分からない」「保佐と補助のどちらが適切か迷っている」「第三者が本人を不当に誘導しようとしていて急いで対応が必要」——そのようなお悩みは、ぜひ弁護士にご相談ください。保佐・補助開始の申立てから遺産分割協議書の作成まで、よつば法律事務所がトータルでサポートいたします。

よつば法律事務所 〒760-0028 香川県高松市鍛冶屋町3-1 香川三友ビル2階
TEL:087-802-2936
☎ 電話でご相談する
※ 本コラムは一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律相談ではありません。また、掲載内容は本コラム作成時点の情報に基づくものであり、その後の法改正等により内容が変わる場合があります。

コラム一覧へ戻る

NEW

カテゴリ

サブカテゴリ

ARCHIVE