「夫が亡くなり遺産分割を進めたいのに、次男と連絡が取れなくなって3年が経つ」——そのようなお悩みを抱える方は、高松市周辺にも多くいらっしゃいます。遺産分割協議は原則として相続人全員が参加しなければなりません。しかし、行方不明の相続人がいるからといって、手続きが完全に止まってしまうわけではありません。
このコラムでは、行方不明の相続人がいる場合に利用できる「不在者財産管理人」の制度と、その申立てから遺産分割完了までの流れをご説明します。
「不在者財産管理人」を選任することで遺産分割を進められます
行方不明の相続人(不在者)がいる場合、家庭裁判所に申立てを行い、不在者に代わって財産を管理・代理する「不在者財産管理人」を選任してもらうことができます(民法25条)。選任された管理人が他の相続人と遺産分割協議を行うことで、不在者の同意なしに手続きを進めることが可能になります。
📌 ポイント:行方不明期間が7年を超える場合は「失踪宣告」の手続きも利用でき、失踪宣告が認められると不在者は法律上死亡したとみなされ、その相続人が遺産分割協議に参加できます(民法30条)。行方不明期間が短い場合は不在者財産管理人の選任が現実的な選択肢です。
手続きの流れ——3つのステップ
不在者財産管理人の選任申立て
不在者の従来の住所地・居所地を管轄する家庭裁判所へ申立てを行う。申立人は利害関係人(推定相続人・共同相続人・債権者など)または検察官。申立費用は収入印紙800円と予納郵便切手。
権限外行為許可審判の申立て
財産管理人は不在者の財産を「管理」する権限を持つが、遺産分割は「処分行為」にあたるため、別途家庭裁判所の許可が必要(民法28条)。協議成立前に必ず許可を得ておく必要がある。申立書には分割案が公平で不在者の法定相続分を侵害していないことを具体的に記載する。
遺産分割協議書の作成と管理報告
許可を得た上で遺産分割協議書を作成。不在者を除く相続人全員と財産管理人が実印で署名・押印し、全員の印鑑登録証明書を添付する。協議成立後、管理人は家庭裁判所に管理報告書を提出する義務がある。
申立てに必要な主な書類
- 不在者の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)
- 不在者の戸籍附票
- 財産管理人候補者の住民票または戸籍附票
- 不在の事実を証する資料
- 不在者の財産に関する資料(不動産登記事項証明書・預貯金残高証明書・通帳写しなど)
- 申立人の利害関係を証する資料(戸籍謄本など)
管理人選任後の管理報告義務
不在者財産管理人は、家庭裁判所から求められた場合に財産の状況や管理の計算を報告する義務を負います。実務上は、遺産分割が成立したとき・重要な財産の換価を行ったとき・管理が終了したときのほか、定期的に年1回程度の報告が必要とされています。
遺産分割で不在者の取得分(例:代償金)が決まった場合、管理人はその金額を「不在者〇〇相続財産管理人〇〇」名義の口座で保管・管理します。不在者が帰還した場合には、その財産を本人に引き渡すことになります。
財産が適切に保全されているかどうかを家庭裁判所が継続的にチェックする仕組みになっています。
自分で進める場合と弁護士に依頼する場合の比較
不在者財産管理人の選任は、複数の申立手続きが連動する複雑な案件です。香川の皆様の判断の参考に、以下の表をご覧ください。
| 比較項目 | 自分で手続き | 弁護士に依頼 |
|---|---|---|
| 制度の選択 | 不在者財産管理人か失踪宣告か、判断が難しい | 行方不明期間や状況を踏まえた最適な方法を提案 |
| 申立書の作成 | 申立書・財産目録・理由の記載が複雑 | 必要書類の収集から申立書作成まで一括サポート |
| 権限外行為許可 | 許可の必要性や申立のタイミングが分かりにくい | 適切なタイミングで申立・取得をサポート |
| 分割案の設計 | 不在者の法定相続分を侵害しない分割案の作成が難しい | 法定相続分を踏まえた公平な分割案を設計 |
| 管理報告対応 | 報告の要否や内容が分からない | 報告義務の内容・時期をアドバイス |
| 費用 | 申立費用(印紙代800円+郵便切手)のみ | 弁護士費用が別途必要(内容により異なる) |
まずは、よつば法律事務所にご相談ください
「相続人が行方不明で遺産分割が何年も止まっている」「不在者財産管理人の申立て方法が分からない」——そのようなお悩みは、ぜひ弁護士にご相談ください。選任申立てから権限外行為許可・遺産分割協議書の作成まで、よつば法律事務所がトータルでサポートいたします。
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