2026.04.06
コラム

介護の負担と遺産分割

投稿者:二川伸也

親の介護を条件に遺産を多く相続させる方法|よつば法律事務所

本コラムのレイアウト構成にはAIの支援を導入しています。皆様に複雑な法律問題を視覚的に分かりやすくお伝えするための試みです。
Care Obligation & Inheritance Division

「介護を条件に遺産を多く渡したい」
代償分割で親の世話と相続を
同時に解決する方法

介護義務を負担する相続人への遺産配分と、協議書への正しい記載方法を弁護士が解説します。

「同居して親の世話をしてくれる弟に、遺産を多く渡したい。でも、後になって介護してくれなかったらどうしよう…」そのような不安を抱えている方は、高松市周辺でも少なくありません。

実は、遺産を多く取得する代わりに介護の義務を負担させる「代償分割」という方法があります。ただし、協議書の記載内容が曖昧だと、将来的なトラブルのもとになりかねません。このコラムでは、具体的な合意の作り方と注意点をご説明します。

代償分割で「介護と相続」をセットで合意できます

遺産分割の方法として、特定の相続人に遺産を多く取得させ、その代わりに他の相続人に対して代償金の支払いや介護・同居の義務を負担させる「代償分割」が認められています(家事事件手続法第195条)。

同居して親の世話や介護をする義務を負担させることも、この代償分割に該当します。法律上認められた有効な合意方法ですが、内容を具体的に記載しないと後日の紛争につながるため、慎重な協議書の作成が必要です。

📌 ポイント:「介護する」という抽象的な表現だけでは不十分です。食事・身体介助・病院の付き添いなど、具体的な内容まで協議書に落とし込むことが重要です。

協議書に盛り込むべき事項と手順

ステップ1|代償の内容を具体的に決める

「介護する」という文言だけでは、同居させるだけで何もしないというケースも起こりえます。以下の項目をひとつひとつ話し合って決めておきましょう。

同居の形態
単に同居を認めるだけでよいか、使用借権や配偶者居住権を設定する必要があるかも検討する
日常生活の世話
食事の支度・掃除・洗濯・病院への付き添いなど、具体的な内容を明記する
療養・介護サービスの利用
身体介護の内容、介護サービス(訪問介護等)利用時の費用負担を決める
施設入所時の対応
在宅介護が困難になった場合の入所契約・費用負担についても、代償分割の一環として規定するか、別途協議とするかを決めておく
義務不履行の場合のペナルティ
どのような不履行があれば損害賠償を請求できるか、違約金の金額を具体的に定めておく

ステップ2|遺産分割協議書を作成する

  • 誰が何の遺産を取得するかを明確に記載する
  • 介護義務の具体的な内容を条項として列記する
  • 相続人全員が実印で署名・押印する
  • 全員の印鑑登録証明書を添付する

ステップ3|不動産を取得した相続人は登記を行う

不動産を取得した相続人は、速やかに相続登記を申請する必要があります。法定相続分を超える権利の承継には登記が対抗要件となります(民法第899条の2第1項)。

介護義務が守られなかった場合はどうなる?

遺産分割協議書に介護義務を盛り込んでも、その義務が守られないケースがあります。その場合の対処について、よく知っておく必要があります。

  • 債務不履行を理由に遺産分割協議を解除することはできません(最高裁判決・平成元年2月9日)。遺産分割はいったん成立すると、その後は債権債務関係が残るだけとされています
  • 相続人全員が合意すれば、遺産分割協議の全部または一部を解除し、やり直すことは可能です(最高裁判決・平成2年9月27日)。ただし、再分割により取得した財産は贈与とみなされる場合があるため注意が必要です
  • 協議書にペナルティ条項(違約金)を記載しておけば、義務の間接的な履行を促す効果が期待できます
  • 義務不履行が続く場合は、遺産分割後の紛争調停・扶養請求の調停・損害賠償請求などを検討することになります
遺産分割のやり直しは、いったん相続人に分属した財産を再度移転させるため、贈与税の課税対象となる場合があります(東京高裁決定・平成12年1月26日)。協議書を最初から正確に作成することが、後のトラブルを防ぐ最善策です。

自分で進める場合と弁護士に依頼する場合の比較

香川の皆様からよく寄せられるご質問として、「協議書は自分で作れるか」という点があります。以下の表を参考にしてください。

比較項目 自分で手続き 弁護士に依頼
費用 書類取得実費のみ 弁護士費用が別途必要(内容により異なる)
介護条項の記載 曖昧な表現になりがちで紛争リスクあり 法的に有効・具体的な条項を作成
ペナルティ条項 適切な金額設定や要件の記載が難しい 実効性のある条項を設計・記載
相続人間の調整 感情的になりやすく合意が難しい場面も 中立的立場で調整・交渉をサポート
義務不履行リスク 不履行時の対処法が分からない 事前の対策と事後の対応を一括サポート
登記手続き 司法書士への別途依頼が必要 司法書士と連携したトータルサポートが可能
📋
相続の全体像については、こちらのまとめページをご覧ください。

まずは、よつば法律事務所にご相談ください

「介護してくれる子どもに遺産を多く渡したいが、協議書の書き方が分からない」「将来トラブルにならないか不安」——そのようなお悩みは、ぜひ弁護士にご相談ください。遺産分割協議書の作成から介護条項の設計まで、よつば法律事務所がトータルでサポートいたします。

よつば法律事務所 〒760-0028 香川県高松市鍛冶屋町3-1 香川三友ビル2階
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※ 本コラムは一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律相談ではありません。また、掲載内容は本コラム作成時点の情報に基づくものであり、その後の法改正等により内容が変わる場合があります。

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