2026.04.06
コラム

二重の相続資格と相続放棄

投稿者:二川伸也

養子かつ孫として二重の相続資格がある場合に一方だけ放棄できる?|よつば法律事務所

本コラムのレイアウト構成にはAIの支援を導入しています。皆様に複雑な法律問題を視覚的に分かりやすくお伝えするための試みです。

Dual Inheritance Status — Partial Renunciation

養子かつ孫として二重の相続資格がある
一方だけ放棄することはできる?
― 二重資格の相続放棄を弁護士が解説 ―

よつば法律事務所|香川県高松市の相続専門コラム


「祖父の養子になっているが、祖父には借金もある。孫として相続するのはよいが、養子としての相続は放棄したい――」このような複雑な状況に直面されたご相談者が、香川の皆様の中にも少なくありません。

実は、一人の相続人が「養子」と「孫(代襲相続人)」のように二重の相続資格を持つことがあります。このような場合、どちらか一方の資格についてのみ放棄できるのかどうか、また申述書にはどう書けばよいのかは、一般の方には非常にわかりにくい問題です。

この記事では、二重相続資格の概要・放棄の可否・申述書作成のポイントを弁護士の視点からわかりやすく解説します。

「二重の相続資格」とは何か

一人の人が、同一の被相続人について複数の相続資格を持つことがあります。代表的なケースは次のとおりです。

  • 養子かつ孫(代襲相続人):祖父と養子縁組し、実親(祖父の子)がすでに死亡している場合。祖父が亡くなると「養子」と「孫(代襲相続人)」という同順位の二重資格を持つ
  • 配偶者かつ兄弟姉妹:婿養子として妻の両親と養子縁組した場合に妻が死亡したとき、「配偶者」と「兄弟姉妹」という異順位の二重資格が生じることがある
  • 被相続人の妹かつ養子:被相続人の妹が養子にもなっている場合
放棄したい
養子
養子縁組による
相続資格
孫(代襲)
実父の代襲による
相続資格
留保したい
同一人が一つの相続について二つの資格を同時に持つ
紫=養子としての資格(放棄したい)  金=孫としての資格(留保したい)
📋 二重資格の場合の相続分(先例) 養子かつ孫(代襲相続人)という同順位の二重資格を持つ場合、両方の相続分を合わせて取得できるとするのが先例の立場です(昭26・9・18民甲1881)。多数説も同様です。つまり通常の養子よりも多くの遺産を取得できる可能性があります。

一方の資格だけ放棄できるか―同順位・異順位で異なるルール

① 同順位の二重資格(例:養子+孫)
原則として両方の資格について放棄したものとみなされます。ただし、「一方の資格のみ放棄し、他方を留保する」旨を明示した場合に限り、一方のみの放棄が認められます。

→ 申述書の別紙で「養子としての資格のみ放棄し、孫(代襲)としての資格は放棄しない」と明記することが必須です。
② 異順位の二重資格(例:配偶者+兄弟姉妹)
各順位ごとに独立して判断されます。先順位の資格で放棄しても後順位の資格に自動的には影響しません。逆に、両方同時に放棄することも可能です。

→ 財産を一切承継したくない場合は両順位の資格で放棄することを明示する必要があります。
⚠ 「明示」しなければ意図しない結果になることがあります 同順位の二重資格を持つ場合、「放棄する」とだけ申述すると、両方の資格での放棄とみなされる可能性があります。孫としての相続を維持したいなら、申述書の別紙に留保の意思を明確に記載することが絶対に必要です。

養子としての資格のみ放棄する申述書の作成ポイント

  1. 1
    申述の趣旨欄に「養子としての」放棄であることを明記 申述の趣旨欄には「被相続人の養子としての相続の放棄をする」と記載します。単に「相続の放棄をする」とだけ書くと、両方の資格での放棄とみなされる恐れがあります。
  2. 2
    別紙(申述の理由)で二重資格の存在と留保の意思を詳述 ①自分が養子かつ孫(代襲相続人)の二重資格を持つこと、②実父の死亡により代襲相続が生じていること、③養子の資格に基づく相続のみ放棄し、孫の資格に基づく相続は放棄しない旨を明確に記載します。
  3. 3
    実父の死亡を証明する戸籍謄本を追加添付 代襲相続が生じていることを証明するため、実父(被相続人の子)の死亡の記載がある戸籍謄本を通常の添付書類に加えて提出します。これにより、孫としての相続資格の存在が裏付けられます。

申述書の主な添付書類

  • 申述人の戸籍謄本(3か月以内のもの)
  • 被相続人(祖父)の死亡の記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 実父の死亡の記載のある戸籍謄本(代襲相続の発生を証明するため追加が必要)

自分で手続きする場合と弁護士に依頼する場合の比較

比較項目 ご自身で対応 弁護士に依頼
二重資格の整理 同順位・異順位の違いの把握が困難 資格の性質を整理して的確に判断
申述趣旨の記載 「どの資格での放棄か」の明示を失念しやすい 両方の資格を区別した申述書を作成
別紙理由書の作成 法的に有効な記述が難しい 留保の意思を明確かつ説得的に記述
添付書類の把握 実父の死亡戸籍等の追加書類を見落としやすい 必要書類を漏れなく収集・確認
相続分の試算 二重資格での取得額の計算が難しい 放棄・留保後の相続分を試算して提示

※ 上記は一般的な目安です。個別の事情によって異なります。

まずはよつば法律事務所にご相談ください

「養子縁組と代襲相続が絡んでいてどう申述すればよいかわからない」「一方の相続資格だけ放棄できるか確認したい」「申述書の別紙に何を書けばよいか」――香川の皆様のそのようなお悩みに、よつば法律事務所が丁寧にお答えします。

二重の相続資格を持つケースは、一般の方にとって最も複雑な相続問題の一つです。申述書の記載が不明確なまま提出すると、残したかった相続資格まで失ってしまうリスクがあります。後悔のない選択のために、早めのご相談をお勧めします。

ご予約はお電話で 087-802-2936
※ 本コラムは一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律相談ではありません。また、掲載内容は本コラム作成時点の情報に基づくものであり、その後の法改正等により内容が変わる場合があります。
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