2026.04.04
コラム

遺産分割の禁止

投稿者:二川伸也

相続財産に係争中の土地があるとき|高松市の弁護士が解説|よつば法律事務所

本コラムのレイアウト構成にはAIの支援を導入しています。皆様に複雑な法律問題を視覚的に分かりやすくお伝えするための試みです。



Disputed Land in Inheritance

「名義は父でも、買ったのは私」——
係争中の土地が遺産にある場合の対処法

高松市・よつば法律事務所|弁護士による相続コラム

相続において、遺産の「範囲」そのものが争いになるケースがあります。名義は被相続人でも、実際の購入資金を出したのは相続人の一人である場合、その土地を遺産として扱うかどうかで相続人間の意見が対立することがあります。

Case
購入資金を自分が出したにもかかわらず、名義だけ父にしていた土地。他の相続人は「遺産だ」と主張——この場合、どう対応すればよいのか?
  • 民事訴訟で所有権の帰属を確定させる(所有権移転登記手続請求)
  • 訴訟と並行して、遺産分割協議の申入れを行う
  • 訴訟が長期化する場合は、遺産分割禁止の調停申立てを検討する

1まず理解すべき「遺産の範囲」という問題

遺産分割の対象となるのは被相続人が持っていた財産に限られます。そのため、ある財産が「被相続人のものか、それとも相続人の誰かのものか」という前提問題の解決が先決です。これを「遺産の範囲の確定」といいます。

💡 家庭裁判所でも前提問題を審理できるが……

判例(最判昭和41年3月2日)により、家庭裁判所は遺産分割の前提問題として所有権の帰属を審理することができます。ただし、この判断には既判力がないため、不服のある当事者は別途民事訴訟を提起できます。確実に解決するには、地方裁判所での民事訴訟が有効です。

「名義借り」とはどういう状態か

本件のように、購入資金を実際に出した人(長男)と、登記名義人(父)が異なる場合を「名義借り」といいます。この場合、真の所有者は資金を出した長男であり、父の死亡後に他の相続人が登記名義を相続しても、長男の所有権は消えません。

⚠ 放置すると不利になるリスクあり

名義が他の相続人に移ってしまうと、権利関係がより複雑になります。相続開始後は速やかに対応を検討してください。売買契約書・領収書・振込記録など、購入資金を出した証拠の確保が重要です。

23つの対応手続きと進め方

  • 1
    所有権移転登記手続請求訴訟を提起する 民事訴訟

    他の相続人(二男・三男)を被告として、地方裁判所に訴状を提出。「真正な登記名義の回復」を原因とする所有権移転登記手続を求める。証拠として売買契約書・領収書・不動産登記事項証明書等を用意する。

  • 2
    遺産分割協議を申し入れる 遺産分割

    訴訟と並行して、争いのない他の遺産(自宅など)については遺産分割協議を進めることができる。書面で協議の申入れを行い、日時・場所を提案する。

  • 3
    必要に応じて遺産分割禁止の調停を申し立てる 調停・審判

    訴訟が長期化し、その間に係争地について遺産分割が行われると事態が複雑化する。所有権帰属が確定するまでの分割を禁止する調停(または審判)を家庭裁判所に申し立てることができる。

📌 申立費用の目安

民事訴訟:対象財産の評価額に応じた収入印紙+予納郵便切手。遺産分割禁止調停:収入印紙1,200円+予納郵便切手。申立先は相手方住所地または当事者が合意した家庭裁判所(家事事件手続法第245条)。

3遺産分割禁止とはどのような手続きか

遺産の範囲に争いがあり、その解決に時間がかかる場合、分割を先行させてしまうと後から取り返しのつかない事態になりかねません。そこで、法律は一定の要件のもとで遺産分割を一時的に「禁止」する制度を設けています(民法第908条4項)。

遺産分割禁止の主なポイント

  • 申立人:分割禁止を求める共同相続人
  • 申立先:相手方の住所地を管轄する家庭裁判所
  • 禁止期間:5年以内(相続開始から10年が上限)
  • 実務上は当事者から積極的に申し立てる必要がある(裁判所が職権で行うことは少ない)
  • 遺産分割調停が既に係属している場合は、添付書類を援用できる
✅ 遺産分割禁止で「時間を買う」

所有権確認訴訟は長期化することがあります。その間に係争地が勝手に分割されるリスクを防ぐため、遺産分割禁止の申立ては有効な選択肢です。訴訟提起と同時か、その直後に申し立てることが望ましいです。

4自分で対応する場合と弁護士に依頼する場合の比較

遺産の範囲をめぐる争いは、通常の相続よりも手続きが複雑で、民事訴訟・家事調停・遺産分割協議が同時並行で進むことがあります。高松市周辺でこのような複雑な相続案件をお抱えの方は、早めの弁護士への相談をお勧めします。

対応場面 自分で対応 弁護士に依頼
証拠の収集・整理 何が有効か判断しにくい 証拠価値を判断し漏れなく収集
訴状の作成・提出 専門知識が必要で困難 弁護士が作成・裁判所対応も担当
遺産分割禁止の申立て タイミングの判断が難しい 訴訟と連動して最適なタイミングで申立て
他の相続人との交渉 感情的対立になりやすい 弁護士が窓口となり冷静に交渉
並行する遺産分割協議 訴訟との切り分けが複雑 全体を見据えて戦略的に対応
費用 実費のみ 着手金・報酬金が発生
Free Consultation

「遺産かどうか」で揉めているなら、
一人で抱え込まずにご相談ください

名義と実態が異なる不動産、遺産の範囲をめぐる相続人間の対立——こうした複雑な相続問題も、よつば法律事務所の弁護士が丁寧に対応いたします。

よつば法律事務所
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※ 本コラムは一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律相談ではありません。また、掲載内容は本コラム作成時点の情報に基づくものであり、その後の法改正等により内容が変わる場合があります。
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