2026.04.04
コラム

マンション解約と死後事務委任

投稿者:二川伸也

死後事務委任契約で賃貸マンションを解約する方法|高松市の弁護士が解説|よつば法律事務所

本コラムのレイアウト構成にはAIの支援を導入しています。皆様に複雑な法律問題を視覚的に分かりやすくお伝えするための試みです。

Post-Death Mandate & Lease Termination

相続人が3人いても、1人だけで賃貸マンションを解約できる?
死後事務委任契約の仕組みを弁護士が解説

高松市・よつば法律事務所|弁護士による相続コラム

亡くなった方が賃借していたマンションは、原則として相続人全員が共同して解約手続きを行う必要があります。しかし、被相続人があらかじめ特定の相続人に「解約の権限」を与えておく仕組みがあります。それが「死後事務委任契約」です。

Q. 「私が解除できる契約」と母が結んでいた場合、相続人3人のうち私だけで解約できる?
A. はい、条件を満たせば単独で解約できます。ただし、遺言の有無の確認と、遺言内容との抵触がないことの確認が先決です。

📋通常の賃貸借解約と死後事務委任契約の違い

まず、通常の賃貸借解約の基本ルールを確認します。賃借人が亡くなった場合、借家権は相続人に承継されますが、解約の意思表示は相続人全員でしなければなりません(民法第544条)。

これに対して、被相続人が生前に特定の推定相続人を受任者として「死後事務委任契約」を締結していれば、その受任者が単独で解約手続きを進めることができます。

死後事務委任契約の基本構造
被相続人(委任者)
生前に契約締結
推定相続人(受任者)
解約権限を付与される
賃貸人
解約合意の相手方
㋐ 死後事務委任契約(被相続人↔受任者)と、㋑ 賃貸借契約(被相続人↔賃貸人)の二重構造
💡 国土交通省のモデル契約とは?

単身高齢者が賃借しにくい問題を解消するため、国土交通省は「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を公表しています。このひな形では、推定相続人等を受任者として、賃貸借契約の解除事務や残置物処理を委任する構成が示されています。

死後事務委任契約は有効か——法的根拠

「委任契約は当事者の死亡で終了する」という原則(民法第653条第1号)があります。しかしこれは任意規定であり、異なる合意をすることができます。

裁判所も死後事務委任契約の有効性を認めており、以下の判例が参考になります。

  • 最高裁平成4年9月22日判決:委任者の死後の事務を委任した場合、死亡によっても委任契約を終了させない旨の合意を含むと認定。
  • 東京高裁平成21年12月21日判決:死後事務委任契約は、委任者の地位の承継者(相続人)が解除することを許さない合意も含むと解釈。
  • 高松高裁平成5年6月8日判決:相続人による解除はできないとした。香川にゆかりのある判決として注目されます。
⚠ 他の相続人が「解除したい」と言っても原則できない

上記判例により、受任者以外の相続人が死後事務委任契約を解除することは、原則として認められません。ただし「契約内容が不明確・実現困難」「履行負担が著しく加重」などの特段の事情がある場合は例外となりえます。

📝実際の手続きの流れ

受任者(推定相続人)が実際に賃貸借契約を解約するまでの手順は以下のとおりです。

  • 1
    遺言の有無を確認する 公正証書遺言・自筆証書遺言の有無を調査。法務局の遺言書保管制度も確認する。
  • 2
    遺言内容と死後事務委任契約の抵触がないか確認する 残置物の帰属先・賃借権の承継などについて遺言と矛盾がないかを確認。抵触がある場合は遺言が優先する。
  • 3
    賃貸人と協議して解約日・残置物撤去日を決める 受任者は「故○○相続人代理人(賃貸借契約解除関係事務受任者)○○」として交渉する。
  • 4
    建物賃貸借契約の解約合意書を作成・署名する 解約日・残置物撤去・明渡し日・賃料および敷金の清算方法を明記する。
  • 5
    残置物を撤去し、物件を明け渡す 死後事務委任契約に残置物処理事務の委任も含まれている場合は、受任者がこれを行う。
📌 解約合意書の署名方法

受任者が署名する際は「故【委任者氏名】相続人ら 賃借人代理人(賃貸借契約解除関係事務受任者)【受任者氏名】」という形式を用います。他の相続人全員の署名は不要です。

📊死後事務委任契約がある場合とない場合の比較

高松市周辺でも、単身高齢者の賃貸入居をめぐる問題は増えつつあります。死後事務委任契約の有無によって、相続後の手続きの複雑さが大きく変わります。

比較項目 死後事務委任契約あり 死後事務委任契約なし
解約の意思表示 受任者が単独で可能 相続人全員の同意が必要
相続人に連絡が取れない場合 影響なし 手続きが止まるリスク
残置物の処理 受任者が委任に基づき処理 相続人全員で協議が必要
賃貸人側の安心感 死後の処理が明確で安心 処理が遅延するリスクあり
遺言との関係 遺言と抵触しないか要確認 遺言に従って手続き
弁護士関与の必要性 契約作成時・トラブル時 相続人間の調整で必要になりやすい
Free Consultation

死後事務委任契約・賃貸借解約でお困りなら
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「死後事務委任契約をこれから作りたい」「既に契約があるが遺言との関係が不安」「他の相続人が解約に反対している」——複雑なご事情にも、弁護士が丁寧にお応えします。

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※ 本コラムは一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律相談ではありません。また、掲載内容は本コラム作成時点の情報に基づくものであり、その後の法改正等により内容が変わる場合があります。
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