亡くなった親の遺品を整理していたら、便せんに「財産を全部やる」と書かれた書き置きが見つかった――。そんな状況に直面したとき、「これは遺言書として有効なのか」「勝手に開けてしまっていいのか」と戸惑う方は多いのではないでしょうか。また、「父が遺言を作ったと言っていたが、どこにあるのかわからない」というケースも少なくありません。
このコラムでは、自筆の遺言書が見つかったときに取るべき手続き(検認)と、公正証書遺言の探し方について、弁護士の立場から丁寧に解説します。香川の皆様が相続手続を安心して進められるよう、ぜひ最後までお読みください。
自筆の遺言書が見つかったら、すぐに「検認」の申立てを
手書きの遺言書(自筆証書遺言)を発見した場合、封がされていても開封されていても、絶対に自分で開封・内容確認をしてはいけません。法律上、遺言書の保管者または発見した相続人は、相続の開始を知った後、遅滞なく家庭裁判所に提出して「検認」の手続を取る義務があります(民法1004条)。
検認を経ずに遺言を執行したり、家庭裁判所外で封書を開封したりした場合には、5万円以下の過料に処せられることがあります(民法1005条)。また、遺言書を隠匿すると相続欠格者となり、相続権を失う場合もあります。
自筆証書遺言として有効と認められる要件
- 全文を自分の手で書いていること(ワープロ・タイプライター不可)
- 作成年月日の記載があること(「吉日」「大安」などは無効。年・月・日のすべてが必要)
- 氏名の自署があること(雅号・通称でも可だが、戸籍上の氏名が望ましい)
- 印が押されていること(実印でなく認印・拇印でも可。サインのみは無効)
- 封筒に入っていなくても、方式が整っていれば有効
- 財産目録については、2019年1月13日以降、パソコン作成・通帳コピーの添付も可能(毎葉への署名・押印が必要)
検認申立ての手続き
- 申立先:相続開始地を管轄する家庭裁判所(高松市の場合は高松家庭裁判所)
- 申立人:遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人
- 費用:収入印紙800円(遺言書1通につき)+予納郵便切手
- 添付書類:遺言者の出生から死亡までの全戸籍(除籍・改製原戸籍謄本含む)、相続人全員の戸籍謄本
- 申立後:家庭裁判所から申立人・相続人に検認期日の通知がなされ、遺言書の用紙・筆記用具・内容・印・日付などを確認した検認調書が作成される
なお、検認はあくまで遺言書の現状を確認・保全するための手続きであり、遺言の有効・無効を決定するものではありません。検認済みの遺言書であっても、後日その無効を争うことは可能です。
「他にも遺言書があるかも」と思ったら——公正証書遺言の探し方
故人が「遺言を作った」と話していたのに、遺品の中に見当たらない場合や、手書きの遺言書のほかに別の遺言が存在する可能性が気になる場合には、公証役場の「遺言検索システム」を活用しましょう。
日本公証人連合会では、昭和64年1月1日以降に全国の公証役場で作成された公正証書遺言・秘密証書遺言をコンピューターで登録・管理しています(大阪・東京の一部公証人については昭和55年・56年以降分も登録)。登録された遺言については、どの公証役場でも検索を依頼できます。
遺言検索の依頼に必要な書類
- 被相続人が死亡したことがわかる戸籍謄本(除籍謄本・死亡証明書等)
- 自分が相続人であることを証明する戸籍謄本等
- 申出人本人の身分証明書(運転免許証・パスポート等)
これらの書類を持参して最寄りの公証役場に相談すれば、日本公証人連合会に問い合わせて検索結果を教えてもらえます。また、遺言公正証書の存在が確認された場合、平成31年4月1日以降は、遠隔地の公証役場が原本を保管している場合でも、最寄りの公証役場を通じて正謄本を郵送請求できるようになっています。
公正証書遺言のメリット
- 原本が公証役場に20年間保管されるため、紛失・偽造・変造のおそれがない
- 家庭裁判所の検認手続が不要(すぐに執行できる)
- 遺言の内容・方式の不備による無効リスクが低い
自分で対応する場合と弁護士に依頼する場合の違い
| 比較項目 | ご自身で対応する場合 | 弁護士に依頼する場合 |
|---|---|---|
| 検認申立書の作成 | 裁判所の書式を参照しながら自分で作成する必要がある | 弁護士が正確に作成・代理申立てが可能 |
| 戸籍収集の負担 | 出生から死亡までの全戸籍を自分で取り寄せる必要があり、手間がかかる | 弁護士が職権で収集でき、手間を大幅に軽減 |
| 遺言の有効性の判断 | 自分では有効・無効の判断が難しく、見落としのリスクがある | 方式の不備・内容の問題点を専門家が的確に判断 |
| 遺言内容に不満がある場合 | どう対応すればよいか判断が難しい | 遺留分の請求・遺言無効の主張など、次のステップへスムーズに移行できる |
| 費用 | 申立費用(印紙代・切手代)のみ | 弁護士費用が別途かかるが、手続き全体を安心して任せられる |
まとめ|遺言書に関するお悩みは、よつば法律事務所にご相談ください
遺言書が見つかったときや、遺言書の存在を探したいときは、まず適切な手続きを踏むことが大切です。自筆証書遺言には検認という重要な手続きが必要であり、無視すると法的なペナルティを受けるリスクもあります。また、公正証書遺言については遺言検索システムを活用することで、全国どこの公証役場でも確認が可能です。
「遺言書が見つかったがどうすればよいかわからない」「遺言の内容に納得できない」「遺留分を請求したい」など、高松市周辺で遺言・相続に関するお悩みをお持ちの方は、よつば法律事務所(香川県高松市)にお気軽にご相談ください。初回のご相談から、皆さまの状況に寄り添い、丁寧に対応いたします。