配偶者や親御さんが遺言を残していた場合、預金口座の名義変更はどのように進めればよいのでしょうか。遺言書があるからといって金融機関がすぐに応じてくれるわけではなく、定められた書類を揃えて正式に手続きを行う必要があります。
本コラムでは、遺言による銀行預金の名義変更手続きの流れ・必要書類・注意点を、よつば法律事務所の弁護士がわかりやすく解説します。
まず行うこと:残高証明書の取得
名義変更の前提として、被相続人の口座がある金融機関から残高証明書を取得しておくことをおすすめします。相続税の申告がある場合は、相続開始日現在の残高証明書の添付が必要です。遺産分割協議が不要な遺言のケースでも、早めに入手しておきましょう。
残高証明書の取得に必要な書類
- 残高証明依頼書(金融機関所定)
- 被相続人の除籍謄本(除籍全部事項証明書)
- 相続人の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)
- 相続人の印鑑登録証明書
※法定相続情報一覧図の写しで戸籍謄本を代用できる場合があります。事前に金融機関へご確認ください。残高証明書の請求は相続人の1人でできます。
名義変更ができる5つのケース
遺産分割前の払戻し制度(民法909条の2)を利用する場合を除き、被相続人の口座の名義変更または払戻しができるのは以下の5つのいずれかに該当する場合に限られます。
- ① 預金の相続に関する遺言書が存在する場合
- ② 遺産分割協議書が作成されている場合
- ③ 遺産分割の調停調書がある場合
- ④ 遺産分割の審判書が確定している場合
- ⑤ 法定相続人全員の合意がある場合
- ※⑤の場合、払戻し手続きのみ可能で名義変更を認めない金融機関もあります
遺言による名義変更の手続きの流れ
- 金融機関へ連絡・書式を取り寄せる 「相続届」「相続に関する依頼書」「相続関係届書」など金融機関ごとに名称は異なりますが、内容はほぼ同様です。同一書面で名義変更と払戻しの両方に対応しているものが多いです。
- 必要書類を準備する 遺言書の種類(自筆・公正証書・法務局保管)によって提出書類が異なります。下記の書類リストをご確認ください。
- 署名・実印を押印して提出 誰の署名・押印が必要かは遺言執行者の有無によって変わります。提出費用はかかりません。
- 金融機関の審査・名義変更完了 提出先は被相続人の口座がある金融機関の支店です。支店ごとに提出を求められる場合と、一支店で全支店分まとめて対応できる場合があります。
遺言書の種類別・提出書類の違い
- 自筆証書遺言:遺言書原本 + 検認済証明書原本
- 公正証書遺言:公正証書遺言正本または謄本
- 法務局保管の自筆証書遺言(令和2年7月10日施行):遺言書保管情報証明書
共通の必要書類
- 各金融機関所定の相続関係届書(相続届)
- 被相続人の戸(除)籍謄本
- 受益相続人または遺言執行者の印鑑登録証明書(発行後3〜6か月以内)
- 遺言執行者が家庭裁判所で選任された場合:選任審判書謄本
- 相続預金の通帳・証書・キャッシュカード(紛失の場合はその旨を届け出ることで代替可)
自分で手続きする場合と弁護士に依頼する場合の比較
| 比較項目 | 自分で手続き | 弁護士に依頼 |
|---|---|---|
| 費用 | 書類取得の実費のみ | 弁護士費用が別途必要 |
| 書類収集の手間 | △ 遺言の種類で変わり煩雑になる場合も | ◎ 一任できる |
| 遺言執行者の有無の確認・対応 | △ 判断が難しいケースも | ◎ 的確にアドバイス・代行 |
| 複数金融機関・複数支店への対応 | △ 手続きが煩雑になりやすい | ◎ まとめて対応可能 |
| 他の相続人からの遺留分請求対応 | ✕ 専門知識が必要 | ◎ 法的対応を代行 |
| 相続税申告との連携 | △ 見落としリスクあり | ◎ 税理士と連携して対応 |
遺言がある場合の名義変更は比較的シンプルに見えますが、遺言の種類・遺言執行者の有無・複数の金融機関への対応など、判断を要する場面も少なくありません。高松市周辺でお困りの方は、お気軽にご相談ください。
相続の全体像については、こちらのまとめページをご覧ください。
相続に関する手続きを詳しく見る遺言・相続手続きのお悩みは
よつば法律事務所へ
「遺言書はあるが、どの書類が必要かわからない」「遺言執行者が選任されているがどうすればよいか」など、香川・高松でのご相談をお気軽にどうぞ。
今すぐ電話で相談予約する