「兄が父の預金を引き出したことは本人も認めている。でも、遺産分割のときに取り戻せるのかどうかわからない……」
香川の皆様からこのようなご相談をいただくことがあります。使い込みに「争いがない場合」は、遺産分割の対象に組み込める可能性が十分あります。ただし、払い戻しが亡くなる前か後かによってルールが異なります。この記事で整理します。
香川の皆様からこのようなご相談をいただくことがあります。使い込みに「争いがない場合」は、遺産分割の対象に組み込める可能性が十分あります。ただし、払い戻しが亡くなる前か後かによってルールが異なります。この記事で整理します。
結論:死亡前後で条件が変わる。どちらも「合意」がカギ
Case A
亡くなる前に
引き出された場合
相続人全員(使い込んだ本人を含む)が合意すれば、遺産分割の対象に含めることができます。合意が得られない場合は民事訴訟が必要です。
全員合意が必要Case B
亡くなった後に
引き出された場合
使い込んだ本人が同意しなくても、それ以外の相続人全員が同意すれば遺産分割の対象にできます(民法906条の2)。調停・審判での解決も可能です。
本人以外の全員合意でOK
令和元年7月1日施行の改正民法(906条の2第2項)がポイント
改正前は、使い込んだ本人が同意しない限り遺産分割に組み込めず、別途訴訟が必要でした。改正後は、死亡後の無断払い戻しについて「本人以外の相続人全員の合意」があれば遺産分割の対象として扱えるようになりました。
改正前は、使い込んだ本人が同意しない限り遺産分割に組み込めず、別途訴訟が必要でした。改正後は、死亡後の無断払い戻しについて「本人以外の相続人全員の合意」があれば遺産分割の対象として扱えるようになりました。
遺産分割に組み込むための手続きの流れ
STEP 1〜3:協議から調停・審判へ
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01相続人全員で遺産分割協議を行う 使い込んだ相続人が「払戻はなかったものとみなして分割する」ことに同意するかを確認します。同意があれば、払い戻した金額を遺産目録に「現金」として記載する形で遺産分割協議書を作成できます。
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02合意できない場合は家庭裁判所へ調停申立 死亡後の払い戻しであれば、本人以外の相続人全員の同意を調停の場で確認・確定できます。調停でも解決しない場合は審判に移行します。
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03審判による解決 払い戻しの事実に争いがなければ、審判においても民法906条の2が適用され、払戻がなかったものとみなした遺産分割が行われます。使い込んだ相続人にとっても、同意を拒んでも結果は同じになるため、実務上は同意するケースが増えています。
遺産目録への記載方法
- 払い戻した金額を「現金(〇〇が保管中)」として遺産目録に記載するのが一般的
- 払い戻した口座が残っている場合は、「払い戻した預貯金等」として別項目を立てると分かりやすい
- 民法906条の2の文言上は、口座・金額を特定した上で払い戻された旨を明記する方法も考えられる
「遺産分割に組み込む方法」と「別途訴訟を起こす方法」の比較
高松市周辺の相談者の方が最も気になるのが、「どの方法が自分のケースに合っているか」という点です。下の表を参考にご検討ください。
| 比較項目 | 遺産分割に組み込む(合意・調停・審判) | 別途民事訴訟を提起する |
|---|---|---|
| 使える条件 | 死亡後の払い戻しは本人以外の全員合意改正法対応、死亡前は全員合意要全員同意 | 合意が得られない全ケースで利用可能 |
| 手続きの場 | 遺産分割協議・家庭裁判所(調停・審判) | 地方裁判所または簡易裁判所 |
| 他の遺産との一括解決 | 可能。使い込み分も含め遺産全体をまとめて解決できる | 原則として別手続きになる。遺産分割とは別に進める必要がある |
| 時間・コスト | 協議で成立すれば早期解決。調停・審判はある程度の期間を要する | 訴訟は一般的に期間・費用ともに大きくなりやすい |
| 弁護士関与の効果 | 合意形成の促進・調停期日での代理・書類作成に強みを発揮 | 証拠収集・法的主張の構築・相手方対応に不可欠 |
相続の全体像については、こちらのまとめページをご覧ください。
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遺産分割・遺言・相続放棄など、相続全般の解説をまとめています
「この場合はどうすればいい?」一度ご相談ください
使い込みの時期・金額・相手の態度によって、最適な手続きは異なります。よつば法律事務所では、個別の事情を丁寧にお聞きした上で、最善の解決策をご提案します。
※ 本コラムは一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律相談ではありません。また、掲載内容は本コラム作成時点の情報に基づくものであり、その後の法改正等により内容が変わる場合があります。