2026.04.06
コラム

遺産の保全

投稿者:二川伸也

共同相続人が遺産を管理してくれない|審判前の保全処分(財産管理者の選任)を弁護士が解説|よつば法律事務所

Protecting Estate Assets

共同相続人が遺産を管理してくれない…
審判前の保全処分・財産管理者の選任とは

遺産分割の協議が進まない間に、遺産の価値が損なわれてしまう前に。家庭裁判所への保全処分申立てという有効な手段を弁護士が解説します。

本コラムのレイアウト構成にはAIの支援を導入しています。皆様に複雑な法律問題を視覚的に分かりやすくお伝えするための試みです。

「兄が相続した不動産を放置して、どんどん傷んでいる」「相続人の一人が勝手に遺産を使い込んでいる可能性がある」——遺産分割の話し合いが長引くほど、こうした問題は深刻になりがちです。香川の皆様の中にも、遺産分割の協議中に遺産が適切に管理されないままになっているケースが少なくありません。このような場合に活用できるのが「審判前の保全処分(財産管理者の選任)」という制度です。

審判前の保全処分とは何か

家事審判事件では、審判が確定するまでの間に財産の状況が大きく変わってしまうリスクがあります。そのため、民事訴訟の仮差押え・仮処分に相当する「審判前の保全処分」の制度が設けられています(家事事件手続法105条)。

遺産分割事件における審判前の保全処分には、主に次の3つの類型があります。

  • 財産管理者の選任:第三者を管理者として選任し、遺産の適切な管理を確保する
  • 財産の管理に関する事項の指示:現在管理している者に対して、管理方法を具体的に指示する
  • 仮差押え・仮処分:遺産の処分を禁止するなど、緊急性の高い場合に利用する

申立ての要件と手順

保全処分の申立てには、①調停または審判の申立てがすでにあること、②本案(遺産分割)が認められる可能性があること、③保全の必要性があること、の3つが基本的な要件です。

1
遺産分割の調停または審判の申立て 保全処分は単独では申し立てられません。まず遺産分割の調停・審判を申し立て、その事件が係属していることが前提です。
2
審判前の保全処分申立書の作成 保全処分を求める事由(緊急に保全が必要な具体的事情)を記載した申立書を作成します。不動産の管理放置など、具体的な事実を丁寧に記載することが重要です。
3
添付書類の準備と申立て 保全処分を求める事由の疎明資料・遺産目録などを添付し、本案事件が係属する家庭裁判所に申立てます。収入印紙は不要で、予納郵便切手のみ必要です。
4
財産管理者の選任・管理開始 保全処分が認められると、財産管理者は第三者との関係でも管理権限(対世効)を持ちます。本案審判の効力が生じた時点で当然に失効します。

担保・不服申立てについて

財産管理者の選任・管理指示については、性質上損害の発生が想定されないため、担保を立てる必要はありません。また、財産管理者選任の申立てに対する審判は、認容・却下いずれの場合でも即時抗告はできません(家事手続法110条1項1号・110条2項)。

自分で申立てる場合と弁護士に依頼する場合の比較

比較項目 ご自身で申立て 弁護士に依頼
申立書の作成 疎明資料の収集・記載に専門知識が必要 弁護士が作成・的確に記載
保全の必要性の主張 何を記載すべきか判断が難しい 裁判所が認めやすい形で立証
財産管理者候補の選定 候補者が見つからないケースも 弁護士が候補者として就任することも可能
その後の遺産分割 調停・審判も自身で対応が必要 保全処分から遺産分割まで一貫対応
申立費用 収入印紙不要、郵便切手実費のみ 弁護士費用(着手金・報酬金)が別途必要

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※ 本コラムは一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律相談ではありません。また、掲載内容は本コラム作成時点の情報に基づくものであり、その後の法改正等により内容が変わる場合があります。
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