2026.04.07
コラム

遺留分の請求を受けた時2

投稿者:二川伸也

遺留分を現金ではなく不動産で解決できる?代物弁済の方法を弁護士が解説|よつば法律事務所

Real Estate in Lieu of Cash Settlement

遺留分は現金で払わなくていい?
不動産を使って解決する「代物弁済」という選択肢

遺留分侵害額請求を受けたとき、手元に現金がなくても不動産で対応できる場合があります。その方法と注意点を、弁護士がわかりやすく解説します。

本コラムのレイアウト構成にはAIの支援を導入しています。皆様に複雑な法律問題を視覚的に分かりやすくお伝えするための試みです。

「父の遺言で不動産をすべて相続したが、弟から遺留分侵害額の請求が来た。でも現金をすぐに用意するのは難しい…」そのようなお悩みをお持ちの方は少なくありません。

実は、遺留分の問題は必ずしも現金で解決しなければならないわけではありません。不動産そのものを分与することで解決できるケースがあります。今回は、その2つの方法と、それぞれのメリット・デメリットをご説明します。

そもそも遺留分侵害額請求とは何か

遺留分とは、一定の相続人(子・配偶者・直系尊属)に法律上保証された最低限の相続分です。遺言によってこの遺留分が侵害された場合、侵害された相続人は受遺者(遺言で財産をもらった人)に対して、侵害額に相当する金銭の支払を請求できます(民法1046条1項)。

遺留分侵害額請求権は「形成権」です。請求の意思表示をした時点で、受遺者に対する金銭債権が当然に発生します。つまり、請求を受けた側は自動的に金銭支払い義務を負うことになります。

しかし民法は、あくまで「金銭での支払い」を原則としているに過ぎず、当事者の合意があれば別の方法で解決することも認めています。

解決策①:代物弁済契約による不動産の譲渡

最もオーソドックスな方法が「代物弁済」です。民法482条に基づき、金銭の支払いに代えて不動産を給付することで債務を消滅させる合意をする方法です。

代物弁済の流れ

1
弟(遺留分権利者)から遺留分侵害額請求を受ける
2
侵害額の金額を確認・合意(当事者間での合意も可能)
3
「金銭の支払いに代えて○○の不動産を譲渡する」旨の代物弁済契約書を締結
4
自己名義に相続登記を行った後、弟へ所有権移転登記を実施
5
不動産の引渡しをもって遺留分侵害額の支払義務が消滅

ポイント:侵害額と不動産の価額は厳密に一致しなくてもOK

代物弁済契約では、遺留分侵害額と給付する不動産の価額が完全に同額である必要はありません。当事者間で合意が成立すれば、有効な契約となります。

⚠️ 注意点:代物弁済では登記が2段階になります(相続登記→移転登記)。その分、登録免許税も2回課税されます。また、不動産の取得価額を遺留分侵害額が上回る場合には、譲渡所得税が課税される可能性もあります。税務については事前に税理士にもご相談ください。

解決策②:遺言の利益を放棄して遺産分割で解決する

コストを抑えたい場合には、別の方法もあります。遺言の利益の一部を放棄し、対象不動産を遺産分割の対象に戻したうえで、弟に取得させるという方法です。

この方法が使える条件

  • 相続人全員(包括受遺者・相続分譲受人を含む)が、当該不動産を遺産分割の対象とすることに同意していること
  • 「相続させる」旨の特定財産承継遺言の場合は比較的活用しやすい
  • 「全財産を相続させる」旨の遺言の場合は学説上の争いがあり(限定説・非限定説)、見解が分かれる点に注意が必要

東京高裁平成21年12月18日判決は、放棄の意思表示だけでは遺産分割の対象にはならないと判示しつつも、全当事者の合意がある場合にはその意思を尊重すべきとの判断を示しています。全員の同意が鍵となります。

2つの方法を比較する

比較項目 ①代物弁済契約 ②遺言放棄+遺産分割
金銭の用意 不要 不要
必要な合意 弟(権利者)との合意 相続人全員の合意
登記手続き 2段階(コスト増) 1段階(分割協議書に基づく移転)
譲渡所得税 発生する可能性あり 原則不課税
活用しやすさ 全遺言タイプに対応可 遺言の種類・全員同意が条件
学説上の争い なし(安定した手法) 全財産遺言の場合は見解が分かれる

高松市周辺でも、相続財産が不動産のみというケースは多く、遺留分問題への対応に悩まれるご相談者が少なくありません。どちらの方法が適しているかは、遺言の内容・相続人の関係・税務上の影響など、個別の事情によって大きく異なります。

相続の全体像については、こちらのまとめページをご覧ください。

遺留分の解決策、一緒に考えましょう

「現金がない」「不動産をどう分けるか話し合えていない」「遺言の効力が気になる」——遺留分を巡る問題は、状況によって最適な解決策が異なります。

よつば法律事務所では、香川・高松の弁護士として、遺留分侵害額請求への対応から代物弁済契約の作成・交渉まで、丁寧にサポートいたします。まずはお気軽にお電話ください。

※ 本コラムは一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律相談ではありません。また、掲載内容は本コラム作成時点の情報に基づくものであり、その後の法改正等により内容が変わる場合があります。

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