「父が亡くなり、遺産は今住んでいる自宅だけ。弟には権利を渡したいが、自分はこのまま住み続けたい」——そのようなご事情を抱える方は、高松市周辺でも少なくありません。しかし、自宅を他の相続人が取得すると、自分の居住権はどうなるのか、不安を感じる方も多いことでしょう。
このコラムでは、土地・建物を弟が相続しながらも、兄が住み続ける権利を法的に確保する「用益権設定」の遺産分割について、具体的な方法をご説明します。
「用益権」を設定すれば、住み続けながら権利を渡せます
遺産分割協議で、建物を取得した弟が兄に対して「用益権(使用する権利)」を設定する合意をすることで、兄は自宅に引き続き住み続けることができます。
用益権には大きく2種類あります。
無償で建物を使用できる権利。賃料の支払いは不要ですが、固定資産税・都市計画税を負担するのが一般的です。借地借家法の保護は受けられません。
賃料を払って建物を使用できる権利。借地借家法の適用を受けるため、使用借権より法的な保護が強く、第三者への対抗力もあります。
📝 どちらを選ぶかは当事者間の事情によります。無償で住み続けたい場合は使用借権、将来的なトラブルを防ぎ法的保護を強くしたい場合は賃借権が向いています。
遺産分割協議書の作成手順と注意点
用益権を設定するためには、相続人全員の合意のもと、遺産分割協議書を正式に作成する必要があります。以下のステップで進めましょう。
ステップ1|相続人を確定する
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せ、相続人全員を確定する
- 包括受遺者・相続分譲受人がいる場合はそれらも含める
ステップ2|用益権の内容を話し合う
- 使用借権か賃借権か、どちらを設定するかを全員で合意する
- 使用借権の場合:無償・終生・固定資産税等の負担など条件を決める
- 賃借権の場合:賃料・目的・期間を明確に定める必要がある
ステップ3|遺産分割協議書を作成する
- 不動産の所在・地番・家屋番号・面積を正確に記載する
- 誰が不動産を取得し、誰にどのような用益権を設定するかを明記する
- 相続人全員が実印で署名・押印する
- 全員の印鑑登録証明書を添付する
ステップ4|不動産登記(対抗要件の具備)
法定相続分を超える権利の承継については、登記をしなければ第三者に対抗できません(民法第899条の2第1項)。取得者は速やかに相続登記を行うことをお勧めします。
配偶者居住権という選択肢もあります
令和2年4月1日以降に開始した相続で、住み続けようとする方が被相続人の配偶者である場合は、「配偶者居住権」(民法第1028条)を設定することで、無償での居住継続が可能です。兄弟間の相続では使用できませんが、夫や妻が住み続ける場面では有効な選択肢です。
自分で進める場合と弁護士に依頼する場合の比較
香川の皆様がよくご質問される「自分で手続きできるか」という点を含め、下の表で比較しました。
| 比較項目 | 自分で手続き | 弁護士に依頼 |
|---|---|---|
| 費用 | 書類取得実費のみ(数千〜数万円) | 弁護士費用が別途かかる(内容により異なる) |
| 時間・手間 | 書類収集・協議書作成に相当の時間が必要 | 書類収集・協議書作成を一括サポート |
| 用益権の選択 | 使用借権・賃借権の違いを自分で判断する必要あり | 状況に応じた適切な権利形態をアドバイス |
| 協議書の正確性 | 記載漏れや不備が起きやすい | 法的に有効な内容で作成・確認 |
| 相続人間の調整 | 合意が得られない場合に対処が難しい | 中立的立場で調整・交渉をサポート |
| 登記手続き | 司法書士への別途依頼が必要 | 司法書士と連携してトータルサポート可 |
まずは、よつば法律事務所にご相談ください
「自宅の相続をどう分ければよいか」「弟と話し合いがまとまらない」——そのようなお悩みは、ひとりで抱え込まずに、ぜひ弁護士にご相談ください。遺産分割協議書の作成から登記手続きの連携まで、よつば法律事務所がトータルでサポートいたします。
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