2026.04.06
コラム

再転相続の相続放棄

投稿者:二川伸也

祖父の借金は相続したくない・父の遺産は相続したい|再転相続の相続放棄を弁護士が解説|よつば法律事務所

本コラムのレイアウト構成にはAIの支援を導入しています。皆様に複雑な法律問題を視覚的に分かりやすくお伝えするための試みです。
Successive Inheritance — Renunciation of Inherited Rights

祖父の借金は放棄して
父の遺産は相続したい
― 「再転相続」における相続放棄を弁護士が解説 ―

よつば法律事務所|香川県高松市の相続専門コラム


「祖父が借金を残して亡くなり、放棄するつもりだった父も急逝してしまった。父の遺産(自宅や預金)は相続したいが、祖父の借金まで引き継ぎたくない――」このように、二つの相続が絡み合う複雑な状況に直面するケースが、香川の皆様からのご相談の中にも見られます。

このような状況を法律的には「再転相続(さいてんそうぞく)」と呼びます。二つの相続が連鎖するため、どちらの相続についての放棄なのかを明確にすることが極めて重要です。

この記事では、再転相続の仕組み・選択できる組み合わせ・申述書作成のポイントまで、弁護士の視点からわかりやすく解説します。

再転相続とは何か―3者の関係を整理する

再転相続とは、被相続人Aの相続人Bが、相続の承認も放棄もしないまま死亡し、BをCが相続した場合をいいます。この場合、CはBの持っていた「Aの相続について承認・放棄を選択する権利(選択権)」も引き継ぐことになります(民法916条)。

祖父 A
多額の借金あり


父 B
Aの相続未了のまま急逝
承認・放棄どちらもせず死亡


自分 C
Bの相続人(今回の相談者)
被相続人A(祖父) 相続人B(父・Aの選択権未行使のまま死亡) 再転相続人C(自分)
📋 熟慮期間の起算点(民法916条) Cの熟慮期間(3か月)は、CがBを相続したことにより、BのAの相続における選択権を自己が承継した事実を知った時から起算されます(最判令和元・8・9)。つまり、祖父Aが死亡した日ではなく、父Bの死亡を知った日が基準となることが多いです。

Cが選べる3つの組み合わせ―何が可能か

Cは、AとBという2つの相続について、それぞれ承認・放棄を選択できます。ただし、選択できる組み合わせには重要な制限があります。

Bの相続(父) Aの相続(祖父) 可否 説明
承認 承認 ○ 可能 父・祖父両方の権利義務を引き継ぐ
承認 放棄 ○ 可能 今回のご希望のケース。父の遺産は相続しつつ、祖父の借金は放棄できる
放棄 放棄 ○ 可能 両方の相続を放棄。Bを放棄すると自動的にAも放棄となる
放棄 承認 ✕ 不可 Bの放棄により選択権ごと放棄されるため、Aだけ承認することはできない
⚠ 「父の相続を放棄して、祖父の相続は承認」はできません 父Bの相続を放棄すると、BがAについて持っていた選択権ごと放棄したことになります。そのため、祖父Aの相続についてだけ承認することは法律上できません。父の財産を受け取りたい場合は、必ずBの相続は承認した上でAの相続のみ放棄します。

祖父Aの相続のみを放棄する手続き

  1. 1
    相続放棄申述書を作成(被相続人はAを明記) 申述書の被相続人欄には祖父Aの情報を記載します。自分(C)とAとの続柄は「孫」です。申述書には別紙として「どちらの相続についての放棄か」「熟慮期間の起算点」を必ず明記します。
  2. 2
    申述先は祖父Aの相続開始地の家庭裁判所 申述先は被相続人Aの最後の住所地を管轄する家庭裁判所です(家事手続法201条①)。父Bの住所地ではないことに注意が必要です。
  3. 3
    別紙で「Aの相続の放棄である」旨を明確に記述 申述書の「申述の理由」欄に、①自分はBを相続したこと、②BがAの相続について承認・放棄をしないまま死亡したこと、③熟慮期間の起算点、④今回の放棄がAの相続についてのみであり、Bの相続については放棄しない旨を明記します。

申述時の主な添付書類

  • 申述人C自身の戸籍謄本(3か月以内のもの)
  • 被相続人Aの死亡の記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
  • 被相続人Aの住民票除票または戸籍附票
  • 被相続人Bの死亡の記載のある戸籍謄本(再転相続を証明するため追加で必要)
📌 先にAの相続を放棄し、後でBの相続を放棄することも可能 Cは、AについてまずBから承継した選択権を使って放棄した後、熟慮期間内であればBの相続についても放棄することができます。すでにしたAの相続放棄の効力は遡及的に無効にはなりません(最判昭63・6・21)。

自分で手続きする場合と弁護士に依頼する場合の比較

比較項目 ご自身で対応 弁護士に依頼
再転相続の理解 二つの相続の関係が複雑で理解困難 整理して最適な選択を提案
起算点の特定 民法916条の起算点判断が難しい 判例(最判令和元年)を踏まえて的確に特定
どちらの相続かの明示 申述書の記載が不明確になりやすい 別紙理由書で明確に記述
申述先の特定 祖父Aの住所地と誤りやすい 正確に管轄を確認して申立て
選択肢の全体像 4パターンの可否が把握しにくい 全体を見渡した最善策をアドバイス

※ 上記は一般的な目安です。個別の事情によって異なります。

まずはよつば法律事務所にご相談ください

「父の遺産は受け取りたいが、祖父の借金は引き継ぎたくない」「再転相続の期限がいつなのかわからない」「申述書にどう書けばよいかわからない」――香川の皆様のそのようなお悩みに、よつば法律事務所が丁寧にお答えします。

再転相続はAとBという二つの相続が絡み合う複雑なケースであり、選択できる組み合わせの理解・起算点の特定・申述書の正確な記述など、専門的な判断が不可欠です。お早めにご相談いただくことで、後悔のない選択が可能になります。

ご予約はお電話で 087-802-2936
※ 本コラムは一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律相談ではありません。また、掲載内容は本コラム作成時点の情報に基づくものであり、その後の法改正等により内容が変わる場合があります。
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