2026.04.06
コラム

包括遺贈と限定承認

投稿者:二川伸也

包括遺贈を受けたが借金も引き継ぐの?限定承認という選択肢|よつば法律事務所

本コラムのレイアウト構成にはAIの支援を導入しています。皆様に複雑な法律問題を視覚的に分かりやすくお伝えするための試みです。

Legacy & Bequest — Qualified Acceptance

遺言で財産を遺贈されたが
借金まで引き継ぐの?
― 包括受遺者が使える「限定承認」を弁護士が解説 ―

よつば法律事務所|香川県高松市の相続専門コラム


「叔母の遺言で財産の半分を遺贈してもらえるとわかったが、かなりの借金もあるらしい。このまま受け取ると借金まで引き継ぐことになるのでは……」そのような不安を抱えてご相談にいらっしゃる方が、高松市周辺でも少なくありません。

遺言で財産を受け取る「遺贈」には、財産の全部または一定割合を指定する包括遺贈という方式があります。包括遺贈を受けた方(包括受遺者)は相続人と同じ権利義務を持つため、借金(消極財産)も承継の対象となります。

しかし、相続人と同様に「限定承認」という手続きを使えば、受け取った財産の範囲内だけで借金の責任を負えばよく、自分の財産を守ることができます。この記事では包括受遺者が行う限定承認の手続きをわかりやすく解説します。

包括遺贈とは何か―相続との違いと包括受遺者の地位

包括遺贈とは、遺産の全部または一定の割合で示す遺贈のことです。「財産の半分を甥に」のように割合で示す場合を割合的包括遺贈、「全財産を一人に」と指定する場合を単独包括遺贈といいます。

包括受遺者の権利
遺産の指定割合に応じた積極財産(不動産・預金等)を取得できます(民法990条)。
包括受遺者の義務
同割合に応じた消極財産(借金・債務等)も承継します。一身専属権・債務を除く財産一切が対象です。
相続人と同一の地位
包括受遺者は相続人と同一の権利義務を持ち(民法990条)、承認・放棄の選択も可能です。
📌 包括受遺者も限定承認できます(民法922条・990条) 相続人と同様に、包括受遺者も限定承認の申述を行えます。ただし、他に相続人や包括受遺者がいる場合は、それらの者と共同でなければ申述できません(民法923条)。今回の事例のように叔母の相続人(兄弟2名)がいる場合、その全員との共同申述が必要です。

包括受遺者が行う限定承認の手続き

  1. 1
    相続財産目録の作成(民法924条) 知りうる範囲で積極財産(土地・建物・預金・株式等)と消極財産(借金・租税滞納・敷金返還債務等)をできる限り正確に記載します。後から判明した財産があっても手続き自体は有効ですが、漏れのない目録が申述の基礎となります。
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    相続人全員・包括受遺者全員が共同で申述書を作成 申述書には相続人・包括受遺者全員が申述人として記載されます。包括受遺者は「包括遺贈の限定承認」、相続人は「相続の限定承認」として申述の趣旨を分けて記載するのが実務上の一般的な書き方です。
  3. 3
    家庭裁判所への申述(3か月以内) 申述先は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所。費用は収入印紙800円(被相続人単位)+予納郵便切手。申述期限は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です(民法915条・924条)。
  4. 4
    家庭裁判所の受理審判により効力発生 家庭裁判所が受理の審判をすることで限定承認の効力が生じます(家事手続法201条⑦)。その後、公告・清算手続きへ進みます。

申述時の主な添付書類

  • 相続人・包括受遺者全員の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)
  • 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
  • 相続財産目録(民法924条)
  • 遺言書の写し(包括遺贈の内容を示すため)
🌿 期間徒過した相続人がいても申述できる場合があります 一部の相続人や包括受遺者について3か月の熟慮期間が満了していても、他の相続人の期間内であれば全員で限定承認の申述が可能とされています(東京地判昭30・5・6)。あきらめずに弁護士にご相談ください。

包括遺贈を受けた場合の3つの選択肢を比較

遺贈を受けた場合、次の3つから選択できます。状況に合わせて最善の方法を選ぶことが大切です。

比較項目 単純承認(そのまま受諾) 限定承認 遺贈の放棄
財産の取得 ◎ 指定割合全部 ○ 残余があれば取得 ✕ 取得しない
借金の負担 全額(固有財産も対象) ◎ 相続財産の範囲内のみ ◎ 負担なし
手続きの複雑さ 不要(何もしなければ承認) 複雑(全員共同・清算手続き) △ 個別に放棄の意思表示
期限 なし 知った時から3か月以内 知った時から3か月以内
相続人全員との共同 不要 必要(全員共同申述) 不要
向いているケース 財産が明らかに債務超過でない 財産・債務の収支が不明 明らかに債務超過

※ 上記は一般的な目安です。個別の事情によって異なります。

🌿 限定承認でも「保証人」の責任は残ります 限定承認によって債務総額が減少するわけではないため、相続債務の保証人は依然として全額について責任を負います(大判大正13・5・19)。また、自分の固有財産で弁済した場合は後から取り戻すことができません(民法705条)。

まずはよつば法律事務所にご相談ください

「遺贈を受けたが借金の額が把握できていない」「相続人との共同申述をどう進めればよいか」「3か月の期限が迫っている」――香川の皆様のそのようなお悩みに、よつば法律事務所が丁寧にお答えします。

包括受遺者の限定承認は、相続人との連携・財産目録の作成・清算手続きまで多くの法的判断が必要です。申述期限(3か月)は思いのほか早く訪れます。少しでも不安を感じたら、すぐにご連絡ください。

ご予約はお電話で 087-802-2936
※ 本コラムは一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律相談ではありません。また、掲載内容は本コラム作成時点の情報に基づくものであり、その後の法改正等により内容が変わる場合があります。
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