2026.04.04
コラム

相続分の取戻し

投稿者:二川伸也

弟が相続分を第三者に譲渡してしまった——取り戻す方法(相続分取戻権)を弁護士が解説|よつば法律事務所

本コラムのレイアウト構成にはAIの支援を導入しています。皆様に複雑な法律問題を視覚的に分かりやすくお伝えするための試みです。
第三者への譲渡 相続人間の譲渡 取戻権の行使 ← 今回
Reclamation of Transferred Inheritance Share

弟が相続分を第三者に譲渡してしまった。
1か月以内に「取り戻す」方法とは

代々受け継いできた土地を見知らぬ第三者に渡したくない——相続分取戻権は、そのような相続人を守るための制度です。ただし行使期限は厳格です。






譲渡発生 ▲ 1か月(取戻期限) 期限切れ
1か月の除斥期間——この期間を過ぎると、取戻権を行使することは永久にできなくなります。

「遺産分割の話し合いをしようとしていた矢先、弟が相続分を第三者(譲受人)に譲渡してしまった。代々受け継いできた土地だから、見知らぬ第三者には渡したくない——」

このようなとき、民法905条は「相続分取戻権」という制度を設けています。高松市周辺で相続争いに直面している皆様に向けて、取戻権の仕組み・手続き・注意点を弁護士が解説します。

相続分取戻権とは——制度の目的と性質

相続分取戻権とは、共同相続人の1人が相続分を第三者に譲渡した場合に、他の共同相続人が価格と費用を償還して、その相続分を取り戻せる権利です(民法905条1項)。

この制度の目的は、遺産分割に第三者が介入することによる紛争を防止し、円滑な遺産分割を実現することにあります。共同相続人であれば1人(単独)で行使できる「形成権」であり、譲受人の同意は不要です。

📌 取戻権の性質
取戻権は形成権(一方的意思表示で効力が生じる権利)であり、相続性は認められますが、債権者代位による代位行使はできません。また、取戻しの対象は譲渡された相続分の全部が原則です(譲受人が承諾した場合のみ一部も可能)。

取戻権行使の3つの要件

01
取戻権者であること
相続分を譲渡した相続人以外の共同相続人であれば、誰でも・単独で行使できます。
02
1か月以内に行使すること
除斥期間(延長不可)。多数説では譲渡時から起算。通知を受けた時からとする説もあります。
03
価格と費用を償還すること
取戻し時点での相続分の時価と譲渡に要した費用(通説)を現実に提供する必要があります。
⚠️ 「1か月」は延長できない除斥期間
取戻権の行使期間は除斥期間と解されており、時効と異なり中断・停止が認められません。「1か月」という期限を過ぎると永久に取戻権を失います。「譲渡されたらしい」と耳にした瞬間から、時計は動いています。すぐに弁護士へご相談ください。

取戻権行使の手続きステップ

価格の算定——いくら払えばよいか

通説によれば、取戻し時点における相続財産の対象相続分の時価が「価格」となります(譲受人が支払った対価とする説もあります)。相続財産の評価額を計算し、その中から取戻す相続分の割合に応じた金額を準備する必要があります。

  1. 1
    相続財産の評価・価格の算定(弁護士に相談) 不動産の場合は固定資産評価額・路線価・実勢価格などをもとに相続分の時価を算定します。評価方法によって金額が変わるため、弁護士・不動産鑑定士と連携することが重要です。
  2. 2
    相続分取戻権行使通知書の作成・送付(1か月以内) 相続分の価格と費用を明記した取戻権行使通知書を、内容証明郵便で譲受人に送付します。価格と費用の「現実の提供」が必要です(口座振込先の照会を同封するなど)。
  3. 3
    代金の支払いと相続分の取得 通知の送付により、譲受人は当然に相続分を失います。その後、取り戻した相続分をもとに他の相続人と遺産分割協議を進めます。

準備しておくとよい書類

  • 被相続人の戸(除)籍謄本(出生から死亡まで)
  • 自分が相続人であることを示す戸籍謄本
  • 印鑑登録証明書
  • 相続財産計算書(評価根拠書類を含む)
  • 不動産の場合:固定資産評価証明書・登記事項証明書など

自分で対応する場合と弁護士に依頼する場合の比較

比較項目 ご自身で対応 弁護士に依頼
期限の管理 1か月の除斥期間を見落とすリスク
手遅れになることも
期限を把握し迅速に行動
機会を逃さない
価格の算定 評価方法が複雑で過不足が生じやすい
算定ミスのリスク
通説に基づく正確な時価算定をサポート
安心
通知書の作成 記載内容・現実提供の要件を満たせないリスク 法的要件を満たした通知書を作成
確実
譲受人が拒否した場合 対処方法がわからず手詰まりになりやすい 法的手続きへの移行をスムーズに対応
その後の遺産分割 取戻し後の協議・調停対応が別途必要 取戻しから遺産分割まで一貫サポート
トータル対応
費用 価格の支払い+内容証明等の実費 弁護士費用が発生(内容により異なります)

相続分取戻権は「知っていればできた」制度です。しかし1か月という厳しい期限があるため、「第三者が相続分を買い取ったらしい」と耳にした瞬間にすぐ動くことが不可欠です。香川の皆様、こうした事態に直面したらすぐにご相談ください。

📋
相続の全体像については、こちらのまとめページをご覧ください。 相続分の譲渡・取戻権のほか、遺産分割・相続放棄・遺言など相続に関するテーマを網羅的にご案内しています。

「相続分が勝手に譲渡された」——1か月以内にご相談を

取戻権には厳格な除斥期間があります。「まだ大丈夫だろう」と様子を見ていると取返しのつかない事態になりかねません。代々受け継いできた財産を守るために、まずは今すぐお電話ください。

高松市を拠点とするよつば法律事務所が、相続分の取戻しから遺産分割まで、丁寧にサポートいたします。

よつば法律事務所
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※ 本コラムは一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律相談ではありません。また、掲載内容は本コラム作成時点の情報に基づくものであり、その後の法改正等により内容が変わる場合があります。
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