相続債務の調査
故人の借入金・債務を、どう調べればいいの?
相続債務の調査と廃業通知の進め方
高松市・よつば法律事務所|弁護士による相続コラム
親御さんを亡くされた直後、金融機関や取引業者から突然「請求書」が届いた——そんな経験をされた方は少なくありません。特に自営業を営んでいた方の相続では、事業上の債務が複雑に絡み合い、どこから手をつければよいか分からない、とご不安を感じる方が多くいらっしゃいます。
このコラムでは、相続債務の調査方法と廃業通知の進め方について、弁護士の立場からわかりやすく解説します。この記事を読むことで、次のことが理解できます。
- 金融機関への「借入金残高証明書」の取り寄せ方
- 取引業者への問い合わせで気をつけるべき落とし穴
- 廃業通知を出すタイミングと記載すべき内容
- 弁護士に依頼するメリットと費用の目安
1まず確認すべきこと——相続債務の全体像を把握する
相続が発生すると、プラスの財産(預貯金・不動産など)だけでなく、マイナスの財産(借入金・未払い代金など)も相続人に引き継がれます。これを「相続債務の承継」といいます。
特に自営業者が亡くなった場合、事業上の借入金・買掛金・未払い税金などが残っていることが多く、漏れなく把握することが重要です。
相続債務に含まれる主なもの
- 金融機関への借入金(事業融資・住宅ローン・カードローンなど)
- 取引業者への買掛金・未払い代金
- 未納の所得税・住民税・事業税
- 連帯保証債務(主債務者が返済不能の場合)
- 損害賠償責任など
2金融機関への照会——借入金残高証明書の取り寄せ方
被相続人が金融機関に対して債務を負っていた場合、まず「借入金残高証明書」の交付を申請します。これは、相続開始日時点の債務額を正確に確認するための書類で、相続税申告における債務控除(相続税法第27条4項)にも必要となります。
手続きのステップ
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1金融機関を特定する 通帳・契約書・郵便物などを確認し、取引のあった金融機関を洗い出す。
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2借入金残高証明書の交付申請書を作成・提出する 各金融機関の所定書式に従い、または書面で申請。被相続人の死亡日現在の残高証明を請求する。
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3必要書類を添付する ①被相続人の戸籍謄本(出生〜死亡)②相続人全員の戸籍謄本③相続人の印鑑登録証明書
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4証明書を受領し、内容を確認する 金銭消費貸借契約書と照合し、契約日・借入金額・返済期限を確認する。
3取引業者への問い合わせ——注意すべき重要な落とし穴
取引業者への債務は、請求書の郵送で初めて把握することが多いです。不明な点は業者に問い合わせますが、相続人には被相続人の事業内容が分からないことも多く、注意が必要です。
安易な問い合わせが「債務の承認(時効の更新)」となる可能性があります。「その債務は引き継ぎます」「確かに払います」などの発言は、後から撤回できなくなる場合があります。
金額が大きい場合や内容が不明な場合は、必ず弁護士に相談してから対応しましょう。
- 請求書の内容(発生原因・金額・発生時期)を書面で確認する
- 「債務の存在を認める」発言は、弁護士の確認が取れるまで避ける
- 消滅時効が完成している債務がないか確認する(商事時効は5年)
- 相続放棄を検討している場合は、特に慎重に対応する
4廃業通知の送付——混乱を最小限に抑えるために
後継者がいない場合、事業の廃業を決めたら速やかに廃業通知を取引業者・金融機関へ送付します。香川の皆様の中には、地元の取引先との関係を大切にされている方も多く、丁寧な通知が信頼関係の維持につながります。
廃業通知に盛り込む内容
- 被相続人の死亡日と廃業の事実
- 後継者がいない旨の説明
- 残債務の返済方針(後日連絡する旨でも可)
- 今後の連絡窓口(相続人の氏名・連絡先)
廃業通知を出しても債務は残ります。相続放棄をしない限り、相続人が債務を承継します。返済が困難な場合は、債権者との協議のほか、自己破産・民事再生の検討も必要になることがあります。廃業通知と同時に、債務への対処方針を示すことが望ましいです。
5自分で対応する場合と弁護士に依頼する場合の違い
相続債務の調査は、ある程度ご自身でも進めることができます。ただし、債務額が大きい・債権者が複数いる・相続放棄を検討しているといったケースでは、弁護士のサポートが効果的です。高松市周辺で相続問題を抱える方にとって、地元の弁護士に相談することで迅速な対応が可能になります。
| 比較項目 | 自分で対応 | 弁護士に依頼 |
|---|---|---|
| 費用 | 実費のみ(証明書取得代など) | 着手金・報酬金が発生 |
| 手続きの正確さ | 見落としリスクあり | 網羅的に調査・対応可能 |
| 債権者交渉 | 不利な承認をしてしまうリスク | 弁護士が窓口となり安全に交渉 |
| 相続放棄・限定承認 | 3か月の熟慮期間を逃すリスク | 期限管理・申立てを一括サポート |
| 精神的負担 | 複数の債権者対応で疲弊しやすい | 窓口を弁護士に一本化できる |
| こんな人に向いている | 債務が少額・債権者が1社のみ | 多額の債務・複数の債権者・放棄検討中 |
相続債務のことで悩んでいるなら、一人で抱え込まないでください
「債務の調査をどこから始めればいいか分からない」「廃業通知と一緒に何を伝えればいいか」——そんなお悩みに、よつば法律事務所の弁護士が丁寧にお答えします。
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