「父が亡くなったのに、成年後見人が管理していた財産はどうなるのだろう」「相続人の間で意見が合わず、財産の引継ぎが進まない」――そうした不安を抱えている方は少なくありません。成年後見人が選任されていた場合、通常の相続とは異なる手順が必要になることがあります。
このコラムでは、被後見人が亡くなった後の相続財産の引継ぎの流れと、相続人間で揉めている場合の対処法について、弁護士の視点からわかりやすく解説します。高松市周辺で同様のお悩みをお持ちの方にも、ぜひ参考にしていただければと思います。
成年後見人が管理していた財産は、死後に相続人へ引き渡されます
被後見人(成年後見を受けていた方)が亡くなると、成年後見は当然に終了します。それと同時に、成年後見人が管理していた財産は、原則として相続人に引き渡す義務が生じます。
民法の原則では、相続人は被相続人の死亡の時から、被相続人の財産に属した一切の権利・義務を承継します。したがって、成年後見人が管理していた預貯金・不動産・その他の財産も、相続人のものとなります。
まず成年後見人が行うこと
- 被後見人の死亡後、最新の戸籍謄本を取り寄せて相続人を調査する(後見就任後に身分関係が変動している可能性があるため)
- 相続人が1人の場合:その相続人にすべての相続財産を引き渡す
- 相続人が複数の場合:誰に・どのように引き渡すかを慎重に判断する(後述)
- 被後見人が遺言を残していた場合:遺言執行者が定められていれば、原則として遺言執行者に引き渡す
相続人が複数いる場合の引継ぎ手順
相続人が複数いる場合、相続財産は相続人全員の共有となります。成年後見人が保管している預貯金通帳などは不可分物ですので、共同相続人の一人から請求があれば引渡しに応じることが理論上は可能です。しかし、実務では格別の慎重さが求められます。一部の相続人だけに財産を引き渡した結果、その相続人が勝手に財産を費消してしまい、他の相続人との紛争に成年後見人が巻き込まれるリスクがあるためです。
そのため、実務では以下の手順が取られることが多いです。
方法①:遺産分割協議完了後に引き渡す
相続人間で遺産分割協議を行い、その結果に従って相続財産を引き渡す方法です。成年後見人は、遺産分割協議書と各相続人の印鑑証明書の写しを受領したうえで引渡しを行います。ただし、遺産分割協議は長期化することも多く、その間も成年後見人が財産を保管し続けなければならないため、できるだけ避けるべきとされています。
方法②:「相続財産の引渡合意書」を作成して代表者に引き渡す(最も多い実務的対応)
遺産分割が完了する前でも、相続人全員の同意のもと、相続人の代表者を定めて財産を引き渡す方法です。この場合、以下の書類を取り付けることが重要です。
- 相続人全員が実印で押印した「相続財産の引渡合意書」
- 相続人全員の印鑑証明書
この方法は、成年後見人の保管負担を軽減しながら、法律関係を早期に安定させることができるため、実務上よく活用されています。
方法③:相続財産管理人の選任を申し立てる
相続人間の合意が得られない場合には、成年後見人が家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申し立て、選任された相続財産管理人に財産を引き継ぐことも可能です。事例のように相続人間で対立がある場合に取られる手段のひとつです。
自分たちで対応する場合と弁護士に依頼する場合の違い
| 比較項目 | 相続人だけで対応する場合 | 弁護士に依頼する場合 |
|---|---|---|
| 引渡合意書の作成 | 相続人全員の合意と書類収集を自分で行う必要がある | 弁護士が書類を作成・確認し、漏れやミスを防ぐ |
| 相続人間の調整 | 感情的になりやすく、合意形成が困難になることも | 第三者として中立的に調整し、冷静な話合いをサポート |
| 紛争になった場合 | 自分たちでは解決できず、手続きが膠着するリスクがある | 調停・審判・訴訟まで一貫して代理対応が可能 |
| 費用 | 書類取得費用のみ(書士費用は別途) | 弁護士費用がかかるが、紛争長期化による損失を防げる場合が多い |
| おすすめのケース | 相続人間の関係が良好で、早期に合意できる場合 | 相続人間に対立がある場合、財産の額が大きい場合、引継ぎで争いが生じている場合 |
まとめ|相続のお悩みは、よつば法律事務所にご相談ください
成年後見人が選任されていた場合の相続は、通常の相続と比べて手続きが複雑になりやすく、相続人間の関係が良好でない場合には特に、早期解決が難しいケースも多くあります。
重要なのは、成年後見人が誰に財産を引き渡すかについて、適切な手順を踏むことです。「引渡合意書」の作成や相続財産管理人の選任申立てなど、状況に応じた対応が求められます。
香川の皆様の相続に関するお悩みに、よつば法律事務所(香川県高松市)は誠実に寄り添います。「何から始めればいいかわからない」「成年後見人から財産を引き継ぐ話がまとまらない」「相続人の間で意見が割れている」といったご相談も、どうぞお気軽にお問い合わせください。初回相談から丁寧に対応いたします。